消費者と生産者のニーズを満たした北海道米の品種開発に向け、ホクレンではJA、北海道内3カ所の農業試験場・研究センターと連携し、さまざまなサポートを行っています。 良食味品種の開発の成果として、平成27年産米において「ななつぼし」「ゆめぴりか」は6年連続、「ふっくりんこ」は2年連続で米の食味ランキング(日本穀物検定協会調べ)最高評価の「特A」を獲得するなど、近年、道内外の実需者や消費者から高い評価を得ています。
そのほかにも、稲の病気に強い「きたくりん」、多収で業務用に適した「そらゆき」、酒米「きたしずく」、もち米「きたふくもち」といった新品種が近年誕生し、生産・販売の多様なニーズに応えうる品種が出そろいました。そして2016年には、多収性に優れた「空育181号」が飼料用米向けとして初めて北海道優良品種(知事特認品種)に認定され、平成29年産からの本格作付開始を予定しています。
ホクレンが10年以上かけて独自に開発した、てん菜種子生産の新方式「春化処理苗」播種が順調なスタートを切りました。この方式が取られる以前は、圃場で原種から育てた「母根」と呼ばれる根を秋に収穫し低温貯蔵で越冬させ、翌春に定植していました。新方式では、最初の段階をハウスでのペーパーポット栽培に変更し秋に原種を発芽させ、翌春圃場に移植します。この画期的な変更により、栽培期間が半年ほど短縮され、播種耕作者の手間の大幅な軽減も実現しました。てん菜は、輪作を基本とする北海道の畑作農業に欠かせない作物です。安全・安心で産地に適した優良なてん菜種子を安定的に供給するために、着実に新方式の定着に努めます。
てん菜の品種開発は女満別種子工場で行われ、1964年認定の「ポリラーべ」をはじめとする、さまざまな品種を普及させてきました。近年では2012年に病害抵抗性を有する「ラテール」を発表。現在はこの次の新しい品種をつくろうと、北海道の土壌や気象条件に適し、より多収で病害に強い品種の研究開発を進めています。最短で2018年の一般栽培開始予定です。
米生産者の育苗ハウスの遊休期間に発泡箱でのトマト栽培が可能な、JA全農式トロ箱養液栽培システム「うぃずOne」の普及を進めています。1年のうち数カ月しか使わない水稲育苗ハウスを有効活用したいという潜在的ニーズに応えた新たな栽培方法です。上川管内からスタートし、2016年は他エリアにも取り組む生産者が見られます。
馬鈴しょの重要害虫ジャガイモシストセンチュウへの抵抗性を持つでん粉用品種「コナヒメ」は、2016年2月に北海道優良品種認定を受け、来年の一般栽培開始に向けた研究が進行中です。また加工用にんじん「紅ぞろい」は中・外食産業の発展を背景に、国産の加工用原料が強く求められるなかで誕生した品種です。色や形がよく加工しやすく貯蔵もできる優れものとして注目されています。
野菜と花きの新品種をお披露目する年1回の展示会。2015年の注目は展示会初出展となったアスパラガス。太さや品質などに優れる新品種を中心に展示しました。またミニトマトは多くのメーカーの品種を並べて、違いをわかりやすく紹介。花では、スターチス・シヌアータの新品種で濃紫色の「紫龍」や、市場ニーズに応えたボリューム感のあるトルコギキョウの新品種が来場者の視線を集めました。
北海道内の主力協力工場で、道産野菜を使った冷凍食品の研究開発を行っています。その歴史は1973年発売のフレンチフライポテトから始まりました。今では、細かな市場ニーズに応えて切り方や加熱時間に違いを持たせた馬鈴しょ、玉ねぎなどが約400アイテムそろい、全国の学校給食にも支持されています。国産志向が高まる昨今、需要の高まりを見せるスイートコーン、えだ豆、いんげんにも注力しています。