過去の受賞者

■ 第15回 ホクレン夢大賞 受賞者経歴及び活動内容

 農業者部門


大 賞

函館育ちふっくりんこ蔵部 殿

 道南に生まれ、いまや北海道を代表するブランド米に成長した「ふっくりんこ」。その育ての親が、生産者グループ「函館育ちふっくりんこ蔵部」です。独自の基準で渡島・檜山の広域に渡る産地の品質を高いレベルで安定させ、他地域への普及では生産者同士が協定を結ぶなど、品質にこだわる画期的な取組みが高く評価されました。

待望の新品種が、地元道南に誕生。
 道立道南農業試験場で誕生した「ふっくりんこ」は、耐冷性にすぐれた晩生種。生産者にとって道南の温暖な気候を生かせる待望の新品種でした。それゆえ当時栽培適地は道南限定とされましたが、それならば地元の人に食べたいと思ってもらえる米にしていこうと、道南ブランドをつくるという新たな目標が生まれました。「函館育ちふっくりんこ蔵部」は、こうした「ふっくりんこ」のブランド化をめざす流れの中で生まれた生産者組合。米の栽培はもちろん、品質管理から販売計画まで一貫して取組んでいます。

ブランドづくりは、統一基準づくり。
 なかでも重要なのが品質基準。一口に道南といっても気候や地質は地域によってさまざまです。道南ブランドの名のもと高いクオリティーを一定に保つため、品質の客観的な判断基準を、実際に米をつくっているこの「蔵部」が定めました。たとえば味や粘りの決め手となるタンパク質含有量(低いほど良い)。基準値を超えた米は出荷しません。この基準値を2年連続して超えた生産者は「ふっくりんこ」をつくることさえできなくなります。厳しい部分もありますが、「この米は大事につくらなければ」という生産者たちの志しにつながったといいます。

産地を広げてもブランドを守るために。
 生産者の努力によって「ふっくりんこ」の品質の高さが地元に支持され、デビューした2003年はわずか20ha程度だった作付面積も4年目の2006年には約305haと、順調に成長。2007年、JAきたそらちぬくもり生産組合が道南以外の地域で初めて「ふっくりんこ」の作付をはじめました。産地拡大にあたって要となったのが、これまで維持してきた品質をどう守るか。そこで同年7月「ふっくりんこ産地サミット」を開き、栽培方法や品質管理について産地協定を締結。同じ生産者として北海道米のブランドを守っていく意志を誓い合いました。翌2008年にはJAピンネふっくりんこ生産組合も加入。産地が広がっても、この「産地サミット」によって生産者が一丸となり「ふっくりんこ」のおいしさを守っています。

北海道米を、全国ブランドへ。
「ふっくりんこ産地サミット」によって地域の垣根を超えた統一基準栽培が確立され、2007年産からは全道デビュー、2008年産からは全国デビューを実現。作付面積は、道南だけでも約1600haにまで広がりました。今後の目標は全国における北海道米のブランドづくり。「ふっくりんこ」によって、これまでの「リーズナブル」という印象から脱却し、品質の高さで勝負していきたい。道南で育まれてきたブランドは、全国に向けてさらに大きく成長しようとしています。