過去の受賞者
■ 第15回 ホクレン夢大賞 受賞者経歴及び活動内容

 農業応援部門


大 賞

江別麦の会 殿

 「江別麦の会」は、小麦生産者、加工業者、農協、行政、大学、研究機関などで構成される産学官連携組織。幻の小麦「ハルユタカ」を安定して生産する栽培方法の確立・普及にはじまり地元小麦を使った麺の開発、消費者に向けたイベント活動など、小麦を育て地域ブランドに成長させた地域振興の取組みが注目されています。

幻の小麦「ハルユタカ」を求めて
 「麦の里えべつ」誕生のきっかけは、生産者とメーカーの「ハルユタカ」への挑戦でした。「ハルユタカ」はパンや麺に適した強力粉用小麦。栽培が難しく、高まる人気とうらはらに収穫量は伸び悩むばかり。そんな中、殺到する消費者からの注文に応えたいと、江別製粉では「ハルユタカ」を求めて奮闘。畑に通っては、生産者に出荷を増やすよう相談を持ちかけます。一方、生産者は、農協、普及センターとともに「ハルユタカ」の収量をなんとか安定できないものかと試行錯誤を繰り返していました。

仲間ができて見えてきたもの。
「ハルユタカ」をめぐる生産者、メーカー、農協、試験場などの関わり合いがいつしかネットワークとなり、1998年「江別麦の会」が誕生。それまで消費者ばかりを気にかけてきた地元製麺会社は、この交流で自分たちの麺づくりが畑からはじまっていることを実感。ひたすら畑と向き合ってきた小麦生産者は、製粉・製麺業者と話すことで、難しくても消費者に求められるものをつくることの大切さを知ったといいます。「江別麦の会」はモノづくりの原点をもう一度見直すきっかけにもなりました。

地元の小麦100%のラーメンを!
この組織の勉強会によって、「ハルユタカ」を安定して生産するために会長の片岡さんたちが開発した初冬まき栽培が飛躍的に普及され、生産量も順調に増加。2001年には小麦の作付面積が米を抜き、主要作物のトップに。やがて、全国のラーメンコンテストで江別産小麦の麺が高く評価されたのを機に、江別ブランドの麺づくりがはじまります。地元製麺会社の菊水は、江別産小麦の持ち味を生かすため、讃岐うどんの製法をヒントにした新しい製麺機を特注。江別製粉では、江別産小麦だけを製粉できるよう、通常の10分の1以下の量で製粉できる機械を導入しました。それぞれの知恵と技を駆使して2004年に生まれた「江別小麦めん」は、地元でたちまち評判になり、現在は全国にも流通され、「麦の里えべつ」を日本中に広めています。

打ち上げ花火では、終わりたくない。
夢大賞受賞を喜ぶ一方で「まだまだこれから。大事なのはこの先も続けていくこと」と会長の片岡さん。日本で食べられる小麦の8割以上は輸入です。江別市で「ハルユタカ」の生産量が伸びたとはいえ、国内消費分のごくわずか。「江別麦の会」では、市内だけでなく道内全体の小麦生産を盛り上げようと、地域の垣根を超えて「ハルユタカ」の初冬まき栽培の普及をすすめています。