北海道とつくるおいしさ[04]
パフェ、珈琲、酒、佐藤

はるばる来たぜ、食卓へはるばる来たぜ、食卓へ

北海道とつくるおいしさ04

お酒を飲んだ後や一日のしめくくりにパフェを味わう、札幌発の食文化「シメパフェ」。季節のフルーツ、チョコレート、生クリームなどが華やかに盛り付けられ、スプーンを口に運ぶたびに味の変化を楽しめるパフェには、たくさんの北海道の恵みが使われています。今回は、シメパフェブームの火付け役「パフェ、珈琲、酒、佐藤」を訪ね、レッドビートを使った新作についても聞きました。

市内26店舗で提供する
「札幌シメパフェ」

札幌の繁華街・すすきのから歩いて徒歩数分。「パフェ、珈琲、酒、佐藤(以下、「佐藤」)」は、ビルの谷間の路地でのれんを掲げています。札幌では10年以上前に、お酒を飲んだ後や一日の〆としてパフェを選ぶ文化が生まれ、クチコミで拡大。そのムーブメントをリードし、ブームにまで押し上げたのが、「佐藤」です。ファンの間で広がった通称「シメパフェ」は「札幌シメパフェ」というブランドとなり、「佐藤」も含む市内26店舗が「札幌パフェ推進委員会」の一員として札幌発の食文化を磨いています。

北海道産の食材で、手作りにこだわる

「佐藤」で提供する「札幌シメパフェ」の定番は、「ショコラとマンゴー」「塩キャラメルとピスタチオ」「豆と梅、ほうじ茶」「季節のフルーツ」の4種類。年に数回、期間限定パフェが登場します。これらのレシピ開発から盛り付けまでを担っているのが、フードコーディネーターの岡元優子さんです。「アイスクリームもソルベもムースもケーキも、すべて手作りです。牛乳、生クリーム、てん菜糖、小麦、小豆は、北海道産100%。おいしい素材を吟味していったら、北海道産揃いになったんです」と、屈託のない笑顔を見せてくれました。

北海道産の農畜産物のおいしさは、
すごいこと

「北海道生まれの私が、北海道産の素材の素晴らしさを実感したのは、本州へ行ったとき。それまでは当たり前と思っていたおいしさが、実はすごいことだと気付きました。以来、北海道産の農畜産物を応援したい気持ちが強くなりました」。こう語る岡元さんは、パフェに欠かせないフルーツもカットして飾り付けるだけではなく、スパイスと組み合わせて新鮮な味わいを醸し出すなど、食材の新たな一面を引き出すことに努めているそうです。

レッドビートは、
野菜というより赤い果物

そんな岡元さんは、このたび、レッドビートを使ったパフェの開発に取り組むことに。「レッドビートを初めて調理したとき、ゆでると土の香りがやわらぎ、甘みがぐっと前に出てきたことに驚きました。これは野菜というより赤い果物と発想を変えたところから、アイデアが湧いてきました」。ゆでても型崩れしないので使いやすく、ゆでたものをローストすると異なる味わいが生まれることも発見。しかも調理法を問わず、赤い色がキープされる点にひかれたと、新しい食材との出会いを楽しそうに振り返ります。

何度も試作を重ね、
完成した5層のパフェ

岡元さんが考案したレッドビートを使ったパフェは、5層。下から順に、「レッドビートのコンフィチュール」「レモンとこしょうのジュレ」「レッドビートのローストと、フルーツのタイムマリネ」「レッドビートとフランボワーズのムースと、バニラクリーム」「レッドビートとオレンジのソルベと、レッドビートのマスカルポーネモンブランをのせたビターチョコのアイス」。最後に、レッドビートとカカオニブのラングドシャ、洋なしを飾ります。「アイデアがまとまったところでスケッチ画を描き、何度も試作しながら最終形にもっていきます」と岡元さん。飾り付ける洋なしの切り方さえ何度も変えてみるなど、妥協は一切ありません。

柑橘系、チョコレート、
スパイスと組み合わせ

1カ月の試行錯誤の末、ようやく完成したのが、写真の「レッドビートとショコラのパフェ(1,628円・税込)」。岡元さんは、「レッドビートは柑橘系などのフルーツとの相性がとても良いので、その点を大事にしました。また、チョコレートと組み合わせ、味の変化を楽しめるパフェに仕上げました」と、特徴を解説。タイムの香りとこしょうを効かせることで、大人っぽいテイストも演出しています。この新作は、「佐藤」にて、10月1日(火)~31日(木)期間限定で提供されます。

これからは野菜の旬も追いかけたい

レッドビートとの出会いを通して、「今まではフルーツをメインに考えていましたが、野菜も未知な部分があっておもしろいと感じました。これからは野菜の旬も追いかけていきます」と意欲を燃やす岡元さん。いま、気になっている食材は、北海道が全国でほぼ100%の生産量を誇り、これから旬を迎えるゆり根だそうで、「牛乳でゆでて、ペースト状にして…」と、すでにイマジネーションはどんどん広がっているよう。期間限定パフェに登場する日も遠くなさそうです。

北海道の恵みをふんだんに使い、手作りにこだわって作られる「札幌シメパフェ」。北海道の豊かさをおしゃれに伝える、メッセンジャーといえそうです。