白い滴、
品質一路の旅
[後編]

はるばる来たぜ、食卓へはるばる来たぜ、食卓へ

白い滴、品質一路の旅Vol.3

道東の牧場から集められ、釧路クーラーステーションに保管された生乳の約8割は、本州へ送られます。その輸送を担っているのが、2隻の「ほくれん丸」です。釧路港で出港準備中の船内を特別に見学してきました。

釧路港に姿を現した
大型船「ほくれん丸」

北海道屈指の漁港としても知られる釧路港。午後2時前、第2埠頭に着くと、ブルーと白のさわやかな配色の大型船ほくれん丸が光を背に入港してきました。ほくれん丸は、全長約173m。毎日、釧路港から茨城県日立港へ、北海道産農畜産物をピストン輸送しています。

午後6時出港、
翌日午後2時、日立港到着

着港したほくれん丸からは、生乳の配送を終え、空になったタンクが次から次へと出てきました。停泊は、わずか4時間。ハイピッチで荷降ろしと積み込みを行って午後6時出港、翌日午後2時には日立港に。このスピード輸送が、道外への生乳配送を可能にしています。

キャリア20数年の船長
「間違いなく運ぶことが使命」

出港するまでの間、船内を見学させていただきました。操舵室に入ると、船長が出迎えてくれました。ほくれん丸の運航管理を担っている川崎近海汽船(株)の寺田智典さんは、ほくれん丸に乗ること20数年の大ベテランです。「この船は、酪農家さんの思いが込められた生乳という貴重な授かりものを載せています。安全運航はもちろん、本州で待つお客様のためにも、間違いなく運ぶことが私の使命です」。

悪天候時の判断は、
ホクレンと相談して下す

各種装置の役割、海図の見方なども丁寧に教えてくれた寺田さん。最新の全自動式操舵装置も見せてくれました。「船の操舵自体は心配ないのですが、悪天候で湾内などに避難した際、そこから釧路と日立、どちらの港に行くべきかの輸送判断は、機械にはできません。前へ進むか、引き返すかは、生乳を待っているお客様の状況を優先しなければなりませんので、随時、ホクレンさんと相談しながら判断しています」と寺田さん。生乳輸送ならではの苦労が感じ取れます。

生乳移送用タンクが
次々とデッキへ

そろそろ生乳の積み込みが始まるということで、急いでAデッキへ。ほくれん丸にはデッキが四層あり、Aデッキは最上層にあります。ゴーという轟音とともに、釧路クーラーステーション等で積んだ生乳移送用タンクが入ってきました。移送用タンクを所定の位置に停めると、船内作業員がタンクの「固縛(こばく)」を行います。

デリケートな生乳を守るために
移送用タンクをしっかり固定

とてもデリケートな生乳を詰めた移送用タンクは、横転を防止するため、デッキの床にしっかり固定されます。まず、タンクの前方に三脚状の器具をかませ、次に左右3本ずつのベルトで固定し、備えは万全です。

外気温の影響を受けづらい
魔法瓶と同じ仕組みの移送用タンク

次から次へと移送用タンクが運び込まれ、船内作業員がひとつ一つを手際よく固定していく様子に見入っているうちに、デッキは移送用タンクでいっぱいに。この移送用タンクは、魔法瓶のように、真空断熱による保温・保冷技術を備えているため、外気温の影響を受けづらいそうです。また、移送用タンクには個別の番号が記されていて、洗浄やメンテナンスなどの管理が行われています。

ほくれん丸の更新により
生乳を運べる量が約2割アップ

生乳の積み込みの作業を見学した後、埠頭に出て改めてほくれん丸を見ると、頼もしさが増したように感じられました。4月から5月にかけて、2隻のほくれん丸を更新し、積載能力を約2割増強します。これからも、北海道の牧場で搾った白い滴を、本州へしっかり届けてください!頼みますよ!