おいしさだけでなく、景色の美しさも守りたい『白花豆』
- 森谷 裕美(もりや ひろみ)さん
道内の短期大学卒業後、地元・留辺蘂町で100年以上続く農家の四代目として就農。農業生産法人『有限会社森谷ファーム』代表取締役のほか、2015年に発足した「るべしべ白花豆くらぶ」の会長としても活躍。http://farm-moriya.com/
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純白で、ひときわ大粒の豆を実らせることから「豆の女王」の異名を持つ、白花豆。JAきたみらい管内の北見市留辺蘂町地区は、全国の生産量の約7割を占める日本一の産地です。
「大きくて美しいのは豆だけではありません。もともと江戸時代には観賞用として栽培されていたこともあり、白色の大きな花が一面に咲くと本当にきれいですよ。それから秋の風物詩といえば、積み上げて自然乾燥させる〝ニオ積み〟。畑に点々と連なる姿は、昔から変わらない美しい風景です」
そう話すのは、同地区で『森谷ファーム』を営む森谷裕美さん。白花豆は祖父の代から栽培しているそうで、「それまではお米を作っていましたが、度重なる冷害で不作が続いたことをきっかけに、冷涼な気候に向く白花豆を育てるようになったと聞いています」
白花豆は生長するとつるが3m以上にもなるため、「女竹(めだけ)」と呼ばれる支柱を立てて育てます。その女竹を立てるのも、芽が出てからつるを1本ずつ女竹に巻き付ける作業も、女竹からつるを外して収穫するのもすべて手作業で行われます。
「根を刈るのも、うっそうとしたジャングルの下をはいつくばらなければならず一苦労です」。そこで同ファームでは、5年前から「農福連携」を実施。障害のある人が農作業に参加できる場を提供し、人手不足を解消する試みも行っています。
森谷さんのほ場での大福豆のニオ積み作業の様子。ニオ積みは、天日と風に当てることで虫などの発生を抑えるのが目的。近年、機械による温風乾燥が主流になり、豆の産地でもこの光景が少なくなっているそう。
JAきたみらいによると、白花豆は栽培に手間がかかることなどから、生産者の数は徐々に減ってきているそうです。
「私も20代の頃は〝もう作りたくない〟と音を上げていましたが、今では守りたいという気持ちの方が強くなりました。手間がかかる分、生産者は白花豆に思い入れのある人ばかりだと思います」と力を込めます。
2015年には、森谷さんをはじめ、白花豆生産者と菓子店など地元の他業種のメンバーが、白花豆のPRと利活用促進を目的に「るべしべ白花豆くらぶ」を発足。レシピの開発や料理講習会、種や苗の無料頒布など幅広い活動を展開しています。
「大粒の白花豆は腹持ちがよく、食物繊維もいっぱい詰まった魅力的な食材です。多くの人に食べていただきたい」と森谷さん。「個人的には息子に白花豆作りを継承するのが、私の使命です」と語ってくれました。
大粒で白ければ白いほど評価が高い白花豆。「シチューやアヒージョ、白いお汁粉も美味です」と森谷さん
道内の短期大学卒業後、地元・留辺蘂町で100年以上続く農家の四代目として就農。農業生産法人『有限会社森谷ファーム』代表取締役のほか、2015年に発足した「るべしべ白花豆くらぶ」の会長としても活躍。http://farm-moriya.com/