オホーツク産が、全国に定着していくといい『小豆』
- 石田 将人(いしだ まさと)さん
1988年、美幌(びほろ)町生まれ。高校卒業後、陸上自衛隊に入隊。退職後の2016年に農家の五代目として就農。小豆のほか、てん菜や馬鈴しょを栽培。2019年4月、「 JAびほろ青年部協議会」会長に就任。
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北見市や網走市に隣接する美幌町。てん菜や馬鈴しょ、小麦の特産地でもありますが、JAびほろによると、町内の豆類の作付面積は、ここ数年増加傾向にあるそうです。
就農4年目の石田将人さんも、3年前から小豆の作付面積を広げ、情熱を注いでいる一人です。
「てん菜のほ場に比べるとまだ半分程度ですが、これまでの倍の面積になりました」
北海道は、国産小豆の国内シェアの9割を占める主産地。その生産量の約7割を十勝地方が占めています。そうした中、2016年の台風による被害と、2018年の天候不順による不作で生産量が減少。「国産小豆が全国的に供給不足になり、災害リスクを分散させようという動きがオホーツク一帯でも広がっています」と石田さんは説明します。「ただ僕の場合は、管内にオホーツクビーンズファクトリーができたことが大きいです。地域の支援も一段と手厚くなり、豆作りがしやすくなりました」
栽培品種は『きたろまん』で、病気や寒さに強いのが特徴。「品質と収量を上げるには、なるべく大粒に育てたい」と石田さん。
「農家になって分かったことですが、小豆は播種(はしゅ)から収穫までほとんど機械で作業ができるので、省力化が進む今の時代にうってつけの作物だと思います。てん菜や馬鈴しょに比べると、防除の回数が少なく、作業の手間もあまりかからないですね」。小豆作りの魅力について、石田さんはそう話します。もちろん、手間がかからないイコール簡単、という話にはならないようです。「品種は同じでも場所によって生育の早さが全然違うので、見極めがすごく難しい。できるだけ均一に生長させるには土づくりが肝心です。うまくいけば、収量アップも見込めますが、なかなか思うようにはいきません」
収穫前のほ場は、茎も葉も茶色くなり、すっかり枯れている状態。石田さんはカラカラに乾いたさやから、数粒の小豆を取り出して見せてくれました。
「タイミングは生産者によって異なりますが、うちは、ほ場でしっかり乾燥させてから収穫しています」。乾燥の頃合いについて質問すると「粒をかんで〝カリッ〟と音がしたら収穫の合図です。父から教わりました(笑)」
2020年、石田さんが小豆の種をまくのは5月下旬。昨年以上の出来となることを願うばかりです。
「収量が上がり、オホーツク産の小豆がこれまで以上に全国に定着していくといい。消費者の方には、小豆の産地は十勝だけじゃないと知ってもらえたら」
オホーツクの豆の未来を象徴する、明るい笑顔が印象的でした。
収穫作業では3年前に購入したコンバインが大活躍。「それまでの機械は古かったので、1haを刈るのに3日もかかりました。今は1日で終わります(笑)」
1988年、美幌(びほろ)町生まれ。高校卒業後、陸上自衛隊に入隊。退職後の2016年に農家の五代目として就農。小豆のほか、てん菜や馬鈴しょを栽培。2019年4月、「 JAびほろ青年部協議会」会長に就任。