「もちもち食感を目指したら、北海道産になりました」
ニッスイ初の冷凍もち米おにぎり
“ニッスイ”でおなじみの、水産・食品会社大手の日本水産。2021年3月に、同社の冷凍食品おにぎりで初となる、もち米を使用した『五穀米が入った!赤飯おにぎり』を発売しました。同商品は、発売直後に開催された「FOODEX美食女子アワード2021」の「朝食で食べたいフローズンフーズ」部門で、グランプリを受賞。テレビ番組でも取り上げられるなど、注目を集めました。
「そうした宣伝効果とリピーター購入に支えられ、おかげさまで売り上げは上々です」と笑顔を見せるのは、同社商品開発部、冷凍食品開発課の伊藤朱美さん。その特徴は、北海道産もち米を使い(※)、さらに五穀(丸麦、黒米、もちきび、キヌア、アマランサス)を加えている点。小豆のおいしさを生かした優しい味付けで、ふっくらもちもちの食感に仕上げています。
同社では、2019年から女性を対象に、忙しい朝にさっと食べられる健康的なおにぎりの開発が本格化。女性の食嗜好を調査した結果、男性と比べて「もちもち」「もっちり」の食感を好むことが明らかになったそうです。伊藤さんは「もちもちの食感とは何だろう? と考えた時に、真っ先に思い浮かんだのがもち米で、そこから赤飯という答えにたどり着きました」と説明します。
※使用しているもち米はすべて北海道産
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「購入される方は圧倒的に女性が多いですが、年配の男性にも好評のようです」と伊藤さん
何度も試作を重ね理想のおいしさに
もち米のおにぎりの開発は、伊藤さんにとっても初めての経験でした。伊藤さんは当時について、次のように振り返ります。
「産地によって、もち米の品種が違うということを初めて知りました。さらに、おもち向きやおこわ向きなど、品種特性による違いもあり、それらをまず理解するところから始めました」
全国各地のあらゆるもち米を取り寄せて、産地と品種の食べ比べを行ったところ「“炊きたてはよくても、時間を置くと硬くなってしまうもの”“やわらかくなり過ぎて粒感がなくなってしまうもの”など、同じもち米でも産地や品種でこんなにも違うものなのかと勉強になりました」と伊藤さんは話します。
結果的に、赤飯に合うもち米として同社が採用したのは、冷めても硬くなりにくい北海道産の『きたゆきもち』。「粒感がしっかりと残り、もちもちとした食感の良さも高評価につながりました」。
工場では、もち米を炊く水加減や加熱温度を変えながら何度も試作を重ねたそう。さらに困難を極めたのが成型で、「赤飯をおにぎりにする際に、もち米が機械にくっついてしまい、どうしてもうまくいきませんでした。最後まで諦めずにテストを繰り返して、ようやく完成できました」と伊藤さんは微笑みます。
「間違いなく、自分がこれまで携わった中で一番苦心した商品です」と伊藤さん。「それでも工場の製造担当者はとても協力的で、みんなで作った商品という思いもあります。この苦労を生かし、もち米を使った商品を積極的に開発していきたいです」。
読者の皆さんに向けて、「近年、米離れが進んでいると言われる中、目を向けていただきたいのが冷凍商品です。特に赤飯は自分で作ると大変手間がかかります。本品はサイズも程よいので、気軽に活用していただけたらうれしいです」と語りました。
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2021年9月に発売された、北海道産もち米を使用したおこわ2商品。「3種のきのこ 五目おこわ」は、きのこのほか鶏肉、タケノコ、油揚げなどの具がたっぷり。「栗おこわ」は、風味が強い栗と、北海道産の小豆を使用。どちらも北海道産真昆布のだしで釜炊きしているのが特徴
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