Vol.45
北海道大野
農業高等学校
阿保 友馬さん

わたし × 農業

私が農業に恋した理由
北海道の高校、専門学校、短大、
大学では、たくさんの学生さんが
農業を学んでいます。
農業のどんなところが魅力?
学んでみて知った醍醐味は?
好きだけど大変と感じることは?
青春ど真ん中の日々での実感、
将来の夢などを聞いていきます。

北海道大野農業高等学校

北海道大野農業高等学校 阿保友馬さん

北海道の水田発祥の地、北斗市大野地区で80数年の歴史を刻む伝統校。命を育てる人を目指す「農業科学科」、農業からヒューマンサービスを学ぶ「園芸福祉科」、食の視点から6次産業を学ぶ「食品科学科」があり、スマート農業、6次産業化、農福連携をキーワードに、新しい時代に対応できる教育を進めています。

北海道大野農業高等学校
041-1231 北斗市向野2丁目26番1号
http://www.oononougyou.hokkaido-c.ed.jp/
TEL:0138-77-8800

  • 阿保さん

    阿保さん

  • GREEN編集室

    GREEN編集室

GREEN編集部 はじめまして。阿保さんのご両親は農家さんではないそうですね。なぜ、大野農業高校へ進学しようと思ったのですか?

阿保さん 小さい頃から動物が大好きで、将来は動物に関わる仕事に就きたいと考えるようになりました。大野農業高校の農業科学科では、畜産のことを学べると知り、進学を決めました。

GREEN編集部 目的を持って入学した阿保さんが、最初に夢中になった授業または実習を教えてください。

阿保さん 乳牛を飼育している校内の牛舎での実習です。牛もそれぞれで、放牧場でもずっとついてくる牛や、人の指示をきかない頑固な牛、好奇心旺盛な牛、臆病な牛など、性格が違います。面白いなぁと思いました。また、牛が人に懐くとは思わなかったのですが、丁寧にブラッシングしたりして、人が怖くない存在だと覚えさせていくうちに、僕にも懐いてくれるようになりました。

GREEN編集部 2・3年生は専攻班での学びが加わるようですね。阿保さんが所属する班について教えてもらえますか。

阿保さん 計6人の乳牛班に所属し、リーダーをやっています。主な活動の場は学校の牛舎です。昨年、新しい牛舎が完成し、搾乳の設備も刷新しました。そのことで搾乳時間の短縮、作業の効率化が図られ、衛生管理もしやすくなりました。

GREEN編集部 乳牛班は、どのようなテーマで活動しているのですか。

阿保さん さまざまな道具の正しい使い方をテーマに選びました。実は、牛舎の床を掃除する時に使うスクレーパーという道具を、力任せに使って壊してしまったことがあるんです。その時に、何事も考えて取り組むことが必要であり、予期せぬアクシデントにも的確に対処する方法を知っていれば、危機管理にもつながることを痛感しました。牛のブラッシングに使用する金ブラシ、牛の頭部に装着し、牛をリードするもくしという縄など、牛の飼育に欠かせない専門的な道具の扱い方を学び直しているところです。

GREEN編集部 リーダーという立場ならではの苦労や悩みもあるのでは?

阿保さん 顧問の先生からの指示を班のメンバーに伝えるのも、リーダーの役割です。それをうまくできず、僕もメンバーも混乱したことがありました。試行錯誤していく中で、メンバーの得手不得手を見極め、役割分担することで、組織的に効率よく作業が進むことを学びました。温かく見守ってくれた二人の顧問の先生、乳牛班のメンバーには、感謝しています。この経験は、今後さまざまな場面で役立つと思います。

GREEN編集部 学校で飼育している乳牛との関係も深まりましたか?

阿保さん はい。最初は牛が大きくて怖かったのですが、2年生の後半に先輩たちから引き方のコツを教わったおかげで、しっかりリードできるようになりました。うまくリードできないと、牛が逃げてしまったり、人の言うことをきかなくなったり、ストレスを感じたりするようになるので、重要な技術を身に付けられて良かったです。牛は、愛情をかければかけるほど成果が出ます。顔つきや目の大きさが違ってくるのを見ると、うれしくなります。

GREEN編集部 2年間、乳牛と向き合ってきた阿保さんですが、肉牛への興味はどうですか?

阿保さん はい、あります。授業そして近隣農家さんのお話から、肉牛の肉質は飼育環境、餌の種類、給餌方法に大きく影響を受けることを知りました。大学に進学して、こうしたことを専門的に学びたいと考えています。

GREEN編集部 大野農業高校に入学する前と現在と、農業に対する見方や考え方はどのように変わりましたか。

阿保さん 以前は、ペットと家畜の違いにあまり気づいてなく、家畜が人間のために生きていることを実感できずにいました。高校で、家畜の命をいただいて生きていることを学び、家畜への感謝はもちろん、人として生きていけることのありがたみを感じるようになりました。

GREEN編集部 将来、北海道農業の担い手になるかもしれない阿保さんの抱負を聞かせてください。

阿保さん 農業の高齢化、担い手不足などの問題がありますが、僕のように農家の出身でなくても農業に興味を持ち、職業にしたいと考えている人もいます。そうした人たちの活躍、そうした人たちがつくる新しい農業を北海道から発信していきたいです。また、僕自身は、肉牛を育てることになったら、A5ランクのブランド牛を作ります!

GREEN編集部 力強いメッセージをありがとうございます。最後に、高校時代の勉強以外の想い出を聞かせてください。

阿保さん 相撲部の部員として、インターハイに出場したことです。団体で決勝トーナメントへ進めましたが、1回戦で負けてしまい、悔しかったです。僕の得意技は内掛けで、立ち合いの一瞬で勝負が決まるところに魅力を感じています。

GREEN編集部 実りの多い高校生活の様子が伝わってくる、いいお話をたくさん聞けました。ありがとうございました!