Vol.5
ズッキーニ
北海道の星みっつ旬食材
道内各地の生産者と太いつながりを持ち、北海道の農を熟知する塚田宏幸シェフが、今こそ味わいたい、おいしさ星三つクラスの食材を毎回ピックアップ。調理のヒントを中心に、生産者や食材にまつわるエピソードなどもお伝えします。
vol.5
ズ ッ キ ー ニ

ズ ッ キ ー ニ

夏野菜の代表、ズッキーニ。北海道内でも各地で生産されています。緑色の長いものが主流ですが、斑模様が入った薄緑色のものもあれば、黄色いものもあり。特にイタリア料理でよく使われています。今回は、まだまだ広がりがありそうな味わい方にフォーカスします。

切り方で、
味わい方が広がる

ズッキーニは、その姿からきゅうりの一種と誤解されがちですが、かぼちゃの仲間。きゅうりは蔓にぶら下がるように育ちますが、ズッキーニは太い茎から横に突き出すように実が付きます。

 

私は、小さい頃からズッキーニをよく食べていました。スライスしたズッキーニにカレー粉、卵白を順につけて焼き、しょう油をかけていただく。それが、我が家の定番でした。店では、芯をくりぬき、そこにホタテやエビのすり身を詰めて揚げたり、大きなズッキーニはスープにしたり、煮たり。使い勝手がよく、味や香りに癖がないので、料理人にはとても重宝な素材です。

 

ズッキーニを使った料理のレパートリーが広がらないという方が多いようですが、切り方を変えてみるといいと思います。すると、そこから発想が広がります。

 

ズッキーニの切り方といえば、オーソドックスなのは輪切り。そのままではなく、片面に全粒粉やオートミールをまぶして焼くと、ガリガリした食感とみずみずしい味わいの対比を楽しめます。ご家庭にあるパルメザンチーズでも、おいしくできます。また、薄い輪切りにして塩もみすると、夏向きの一品になります。

知り合いの生産者さんは、とろけるような食感を楽しめるからと、基本的には縦に切って使うそうです。私が縦使いする場合は、3、4等分の長さに切り、さらに縦に厚めに切ったり、放射線状に切ったりしてソテーに。スライサーで皮ごと薄くむき、しならせて表情を作り、料理の付け合わせに。皮だけをむいて軽くゆで、くるっと巻いて立てて添えると、洗練された雰囲気を作れます。

 

ぜひ試してほしいのが、生のまま、鬼おろしやチーズおろし器で削るというもの。そう力を入れなくてもザクザク削れます。しっかり水分を逃してから卵にからめて焼くと、本当においしい。しかも、ズッキーニをたくさん食べられます。

 

店では、まかないのパスタにも、このザクザクズッキーニを使っています。フライパンにオリーブオイルを熱して、厚めに切ったにんにくを香りが出るまで温め、魚介類を加え、火を通します。パスタがゆであがる1分前に、フライパンの中に削りながらズッキーニを加え、パスタとあわせて仕上げる。これで出来上がりです。簡単に作れますので、お気軽にお試しください。