Vol.6
レッドビート
北海道の星みっつ旬食材
道内各地の生産者と太いつながりを持ち、北海道の農を熟知する塚田宏幸シェフが、今こそ味わいたい、おいしさ星三つクラスの食材を毎回ピックアップ。調理のヒントを中心に、生産者や食材にまつわるエピソードなどもお伝えします。
vol.6
レ ッ ド ビ ー ト

レ ッ ド ビ ー ト

「ビーツ」とも呼ばれ、ロシア料理ボルシチに欠かせない、レッドビート。きれいな赤を生み出す色素ベタニンやカリウム、葉酸が含まれています。新鮮なレッドビートまるごと1個の扱い方や調理法、その基本の「き」をご紹介します。

レパートリーを広げる、
赤い食材

華やかな色、豊かな甘味、ほのかな土の匂い。個性鮮やかなレッドビートは、ほかのものにたとえることができない、なんとも不思議な食材です。それでいて扱いやすく、さまざまな料理に使えることから、海外では水煮パックや缶詰で広く売られているように、日常的に愛用されています。

 

レッドビートは生でも食べられますが、ゆでてから調理するのが一般的です。よく水洗いしてから、まるごと水からゆでます(水1ℓに塩、酢またはレモン汁各小さじ1を加えてください)。切ってゆでると時短にはなりますが、せっかくの赤い色が逃げてしまいます。沸騰したら弱火にして30~40分程度ゆで、竹串がスッと通ればゆであがりです。

 

皮は、手や包丁で簡単にするりとむけます。その日使わない分は、カットして密封パックに入れ、冷蔵庫または冷凍庫へ。解凍しても食感はほとんど変わりませんのでご安心ください。初めて使う方は、手始めにスムージーはどうでしょう。ゆでて2cm角に切ったレッドビートと、皮をむき種を取ったオレンジ、水と一緒にミキサーに入れ、よく混ぜるだけ。ルビーの色に似たきれいなスムージーは食卓に映え、さらりとした甘さは朝食にもぴったりです。

料理は、五味(甘味、塩味、酸味、苦味、うま味)のバランスで決まると言います。レッドビートは甘味が強いので、私はマリネにしたり、ドレッシングや赤いフルーツなど酸味のあるものを組み合わせたりしてバランスをとることが多いです。

 

また、辛みとの相性も良く、フレンチでは山わさびをあわせることがよくあります。私のおすすめは、豆板醤とマヨネーズを1:3の比率で混ぜたもので味わうというもの。新鮮な味わいを感じると思いますので、一度お試しください。

 

調理法でいえば、煮てよし、焼いてよし。さらに、ボルシチをはじめとする洋食は言うに及ばず、天ぷらにしてもいいですし、中華にも合います。レッドビートとパプリカ、牛肉でチンジャオロースーを作ってもおいしくできそうです。また、生のままササッと料理を作りたい時は、レッドビートをごぼうの代わりに使ったきんぴら、玉ねぎや牛肉と一緒に煮込んだハヤシライスが手軽です。

 

料理の楽しさを広げ、きれいな赤い色で食卓を彩ってくれるレッドビート。ご紹介したレシピは、GREENWEBに掲載していますので、ご参考にしてください。