Vol.2
北海道大学
農学部生物資源科学科
高桑 あおいさん

わたし × 農業

私が農業に恋した理由
北海道の高校、専門学校、短大、
大学では、たくさんの学生さんが
農業を学んでいます。
農業のどんなところが魅力?
学んでみて知った醍醐味は?
好きだけど大変と感じることは?
青春ど真ん中の日々での実感、
将来の夢などを聞いていきます。

北海道大学 農学部 生物資源科学科

北海道大学 農学部 生物資源科学科 高桑 あおいさん

北海道大学農学部には7学科があり、高桑さんが在籍する生物資源科学科は、「すべての生物は私たち人間にとって末永く共存し、利用すべき貴重な資源である」という理念のもと、作物学から植物ゲノム科学まで11分野から構成されています。

北海道大学 農学部
060-8589 札幌市北区北9条西9丁目
https://www.agr.hokudai.ac.jp/
TEL:011-706-4041

  • 高桑さん

    高桑さん

  • GREEN編集室

    GREEN編集室

GREEN編集部 北海道大学農学部といえば、1876年に設立された札幌農学校がルーツですね。広大なフィールドもあり、農業を学ぶには恵まれた環境だなぁと思います。

高桑さん 私もそこに惹かれました。いま通っている研究室から農場までは徒歩0分。でも、目的の作物が植わっているところまで行くのに15分かかるんですp(^^)q

GREEN編集部 高桑さんは、どんな研究を行っているんですか。

高桑さん 種なしりんごを作りたいんです。難しいことをはしょって言うと、通常、染色体を3セット持っている三倍体の植物は種子ができません。たとえば、バナナがそうです。でもりんごの三倍体品種では、種子が形成されます。その理由を突き止めて種なしりんごを作りたい。それが研究のゴールというか、夢です。

GREEN編集部 種なしりんご。考えたこともなかったです。

高桑さん 私は子どもの頃から、野菜や果物の中にある種に「こわい」という感覚があって、そのことに着想を得て、星野洋一郎先生に種なしりんごの研究を提案したんです。

GREEN編集部 星野先生といえば、ハスカップ研究の第一人者ですね!

高桑さん 星野先生は、穏やかなお人柄で、研究室の学生みんなからの信頼もとても厚いです。研究に対する姿勢はとてもストイックで、私も先生から研究に対する考え方やデータの捉え方など、相当丁寧にご指導いただいています。あ、ちなみに下の写真は、農場に咲いたハスカップの花です (^-^)

GREEN編集部 高桑さんは、ハスカップの研究のお手伝いもしているんですか。

高桑さん そこまではできませんが、農場の木の冬囲いはお手伝いしています!

GREEN編集部 それは、先生も助かりますね。話を元に戻すとして、種なしりんごの研究は、山登りでたとえると、いま何合目くらいでしょう。

高桑さん 何合目もなにも、まだ山登りのための荷造りの段階です(。・・。) 果樹一般に言えることですが、1シーズンだけではわからないことがたくさんあって、そこが難しいなと。

GREEN編集部 まわりの先輩は、研究のアドバイスをくれたりします?

高桑さん 実験を進めていく上で、「ここは、先を見越して注意しておいた方が良いよ」など、経験に基づくアドバイスを具体的にしてくださいます。先輩方の研究は、北海道におけるハスカップの分布調査というマクロなものから、花粉管伸長のメカニズムというミクロなものまで幅広く、どれも魅力的です。

GREEN編集部 人間関係もとても良さそう。

高桑さん はい。仏のような方が多いのですが、時折、俗世が垣間見え…(^^ゞ

GREEN編集部 北大で学んでいるうちに、農業に対する興味や捉え方も変わりましたか。

高桑さん はい。農業では農薬などの資材が大きな役割を果たしていることを実感しています。ネガティブなイメージを持たれている農薬にも、肯定的な考えを抱くようになりました。また、ラボで実験を重ねることを基盤としたミクロな研究にも、魅力を感じるようになりました。

GREEN編集部 研究を進めるうちに、世界が広がっていっていることが伝わってきます。

高桑さん そうですね。社会に出てからも、植物の力を生かすにはどうしたらいいのか、そのことをずっと考え続けていきたいなと思っています。

GREEN編集部 りんごを見るたび、高桑さんを思い出しそうです。

高桑さん ありがとうございます。種なしりんご、できたらいいなぁ(^-^)