Vol.7
北海道帯広
農業高等学校
穴吹 仁さん

わたし × 農業

私が農業に恋した理由
北海道の高校、専門学校、短大、
大学では、たくさんの学生さんが
農業を学んでいます。
農業のどんなところが魅力?
学んでみて知った醍醐味は?
好きだけど大変と感じることは?
青春ど真ん中の日々での実感、
将来の夢などを聞いていきます。

北海道帯広農業高等学校

北海道帯広農業高等学校 穴吹 仁さん

北海道帯広農業高等学校は、1920年に十勝農業学校として創立。地域自立型の農業・農村社会を築くために、郷土や地域を愛し、誇りを持って生きることのできる人材を育成し続けています。スポーツ分野の活躍も目覚ましく、文武両道の高校としても知られています。

北海道帯広農業高等学校
080-0834 帯広市稲田町西1線9番地
http://www.obino.hokkaido-c.ed.jp/
TEL:0155-48-3051

  • 穴吹さん

    穴吹さん

  • GREEN編集室

    GREEN編集室

GREEN編集部 こんにちは。ずいぶん日に焼けていますね。農作業焼けですか? ご実家は農業を営んでいて、穴吹さんはよく手伝いもされているそうですね。

穴吹さん 家は帯広市の隣町の幕別町にあり、両親は4代目農家。60haの畑で小麦、じゃがいも、ビート、大豆、種長いもを栽培していて、俺も週末や学校が休みの日はもっぱら家の手伝いというか。

GREEN編集部 帯広農業高等学校は、「帯農(おびのう)」と呼ばれる伝統校。穴吹さんは農業科学科2年生ですが、帯農に進学して良かったですか?

穴吹さん 毎日実習があり、家で育てていない作物を栽培して、さまざまなことを学べるので楽しい。小さい頃、親父が運転するトラクターによく乗せてもらっていたせいか農業機械が好きで、機械に乗って作業している時はそれはもう最高ですよ。

GREEN編集部 班に分かれての栽培も行っているそうですが、穴吹さんは何班ですか?

穴吹さん 小麦班で、十勝管内での栽培も増えている春播き小麦「春よ恋」を栽培してます。家では春播き小麦を栽培していないので、この品種があることさえ知らなかった。でも、5月下旬の播種から8月中旬の収穫まで、自分たちで手をかけると愛着がわき、調査をすることでわかる生育の様子など、多くの発見があり、手応えがありました。

GREEN編集部 実際に栽培してみて、何が大変でしたか。

穴吹さん 機械を使わずに、土全体に肥料を均等に施すのはすごく難しかった。農薬を使わないで栽培したので、こまめに圃場へ行き、観察・調査したり、除草したり。

GREEN編集部 調査とは、たとえば?

穴吹さん 茎数や株数を数え、草丈の長さを計測。播種量を10kgと12kgの区に分けているので、その違いも観察すると、場所によって生育具合が違うこともわかって。「農業は1年に1チャンス」というけれど、本当にそうだなと。でも、思い通りにいかないところも農業の魅力、そう思うんで。

GREEN編集部 「1年に1チャンス」といい、「思い通りにいかないところも魅力」といい、穴吹さんは農業の真髄にすでにふれているようですね。

穴吹さん 農業は常に自然と向き合う仕事。だからこそ、中途半端な気持ちでやるものではない。中途半端な気持ちだと、「このくらいでいいや」ということが多くなり、良い作物を栽培できなくなる。俺は、天気が良いときも悪いときも考えているのは、畑のことばかり。農業は簡単ではないけれど、生命のたくましさを感じられる素晴らしい仕事だと思う。

GREEN編集部 だからこそ得られる喜びもありますね。

穴吹さん 自分がイチから育てたものが市場で売られていることに、喜びを感じる。それは、人々の食を支えているという実感があるから。自分が困っているときは、地域の人や周りが助けてくれたりするのも農業の良いところ。

GREEN編集部 将来は、実家の畑を継ぐんですね?

穴吹さん 継ぎます。子どものころから、叔父に「穴吹の跡取りはお前だ」と言われて育ったけれど、はっきり継ごうとは考えていなかった。その叔父が、病気で亡くなる間際に残した言葉が、「父さんの次はお前が継いでくれ」。それで、小学6年の時に決めたんです。

GREEN編集部 将来、十勝という地でどんなことにチャレンジしたいですか。

穴吹さん 十勝は輪作が当たり前に行われているように、土づくりに力を入れているエリア。「土づくり10年」だから、後を継いだら、土づくりにしっかり取り組む。ここは長いもの一大産地でもあるので、より品質の良いものを作れるよう、うちの種長いも作りも精一杯頑張ります。

GREEN編集部 穴吹さんが作った作物を食べてみたくなりました。その日が来るのを楽しみにしています。ありがとうございました!