営農支援センターでは道内各支所営農支援室と長沼・訓子府両農場で、営農・技術支援に関わる取り組みを行っています。地域の抱える課題を把握し、解決に向けての支援をしています。優良事例は営農支援対策取り組み成果集「START UP!」で地域へ水平展開をしています。
全道に被害が拡大しつつあるコムギ縞萎縮病が問題となっています。土壌中のウイルスによって感染する病害であり難防除病害の1つです。被害軽減のためにウイルス密度を低減する方法の研究を進めています。
ホクレン長沼研究農場では、「複合環境制御装置を用いたミニトマトの栽培試験」を行っています。温度、湿度、CO₂濃度といったハウス内の環境を複合的に制御して作物にとって最適な栽培環境をつくることで光合成を活発にし、生産性の向上を図っています。
ホクレン訓子府実証農場では、乳牛の生産性向上を目的とした試験研究、省力化に向けたスマート酪農技術の実証などに取り組んでいます。
道内のタイストール(繋ぎ)牛舎における搾乳作業省力化に向け、2021年12月にタイストール用搾乳ロボットを既存の牛舎に導入し実証を開始しました。導入を検討されている方や興味のある方にトラブル対応を含めた実証内容を発信していきます。
また、畑作分野の省力化、生産性向上などを目的としてGNSSガイダンスシステム、自動操舵補助装置および可変施肥などのスマート農業を中心とした実証試験を行っています。
トラクターの自動走行に欠かせない高精度の位置情報を提供する「ホクレンRTKシステム」が2017年からの2年間の実証試験を経て、2019年4月よりサービスを開始しています。RTKシステムとは、人工衛星からの信号を、トラクターだけではなくRTK基地局でも受信し、位置補正情報として利用するシステムです。生産者、JA、ホクレンの3者協力体制の下、2022年4月末現在で63JA、51基地局、5,057IDの登録があります。ホクレンがシステムを一元管理・運用することや複数のJAで基地局を共有することが可能となるため基地局設置コストの低減が見込め、また基地局の不具合時には暫定的に近隣基地局の補正情報を発信する(※近隣に対応基地局がある場合)ことから安定的な利用が期待できます。
システムの流れは次のとおりです。①JAなどが運営するRTK基地局で受信した信号を補正情報として、インターネット回線を通じてホクレン管理のクラウドサーバーに送信。②クラウドサーバーで受信した補正情報を、インターネット回線を通じて生産者の携帯端末に送信。③生産者の携帯端末の補正情報を、Bluetoothでトラクターのガイダンスシステムに送信。
トラクター側でも人工衛星からの信号により位置情報は得ていますが、RTK基地局からの補正情報が加わることにより、位置情報の精度が上がり、誤差がプラスマイナス2~3cmまで減少するといわれています。
近年、水稲や畑作における防除作業の省力化に向けて農薬散布ドローンへの関心が高まっています。
主要機種の紹介等、ドローンに関連する情報を講習会や動画を通じて分かりやすく発信しています。
農業現場の労働力不足に対応するため、北農5連(JA北海道信連、JA共済連北海道、JA北海道厚生連、JA北海道中央会、ホクレン)で構成する北農5連JA営農サポート協議会では、人材派遣会社や旅行会社などのパートナー企業4社と協力し、生産現場での人材確保や人材提供の取り組みを開始しました。
職業紹介事業を実施するJAを後押しするため、北農5連JA営農サポート協議会では、「農業求人サイト」を試験的に開設しました。参加JAからのニーズを聞きながら、より良いサイトとなるように改良を加えていきます。
担い手生産者向けに、営農形態別に研修会を開催しています。2021年度は、コロナ禍を踏まえWebにて開講しました。約200名の担い手生産者の方に作物の栽培技術や新技術に関して知識を深めてもらいました。
酪農経営者向け研修、コントラオペレーター研修、女性農業者向けの研修を、Webを活用して行っています。女性農業者基本スキルアップセミナーでは、「農作業安全」、「スマート農業」をテーマとして実施しました。受講者からは、「改めて安全に仕事をしようと思った」、「ホクレンRTKシステムについて知ることができた」などの感想があげられました。
営農に役立つ情報を伝える冊子「アグリポート」を、道内の生産者に向けて隔月で発行しています。写真や図をふんだんに用いて「読みやすさ」にこだわり、スマート農業などの新技術や道内各地の優良な取り組み事例など、さまざまな情報をわかりやすく伝えています。
YouTube内の「ホクレンアグリポートチャンネル」では、文字や画像だけでは伝えきれない営農に役立つ情報を動画配信しています。