『SPF豚』の飼育には特別の方法、あるいは飼料を使うのでしょうか。

飼育の方法は、普通の農場と変わりありません。ただ、衛生的にクリーン度合いが高いため、一般農場でも注意している特定疾病に対する侵入防止対策が必要になります。
 また、『SPF豚』は飼料効率も良く、肥育日数が短いため、繁殖豚用、肥育用にしても、一般豚用とは異なる飼料を使用しています。


<ホクレンの主なSPF豚向飼料>
豚が健康に育つように、与える餌は発育段階(飼育ステージ)に応じて栄養バランスを考えた穀物主体で配合されたもの(配合飼料)を使用しています。
なお、子豚育成期以降の配合飼料には抗生物質を添加していません。


飼育ステージ 製品名 形態 成分
粗たんぱく質 可消化養分総量
ほ乳前期 ピグラッシュ1 顆粒 21.0%以上 87.0%以上
ほ乳前期 ピグラッシュ2 顆粒 21.0%以上 86.0%以上
ほ乳前期 ピグラッシュ3 顆粒 20.5%以上 85.0%以上
ほ乳後期 子豚用A1 クランブル 20.0%以上 81.0%以上
ほ乳後期 子豚用A2 クランブル 17.5%以上 79.0%以上
子豚育成期 SPF子豚EX エキスパンダーペレット 16.0%以上 75.0%以上
肥育期 SPF肥育71EX エキスパンダーペレット 14.0%以上 71.0%以上
肥育期 SPF肥育76EX エキスパンダーペレット 13.0%以上 76.0%以上

注1:形態
 顆粒 ・・・ 粉状のものを造粒して粒状にしたもの
 クランブル ・・・ ペレットを粗く砕いたもの
 エキスパンダーペレット ・・・ 粉状の飼料を高温高圧で固め、短い円柱状に成型したもの

注2:可消化養分総量
 飼料に含まれるエネルギー含量を示す単位のこと。日令が若いほどエネルギーの高い飼料が要求されます。


『SPF豚』はどのような必要性があって、いつから作られるようになったのでしょう。先進的な国はどこですか。

近年、種豚の流通が国際的になり、疾病の種類も増えてきたため、薬で抑制するよりも、種豚段階から疾病のない状態で飼育する方法が考えられました。『SPF豚』の先進地はアメリカ、カナダ、デンマークなどですが、デンマークでは3分の2が 『SPF豚』といわれています。
 1953年(昭和28年)に、アメリカのG・A・ヤング博士が現在のような開腹手術方法を実施しており、わが国では、昭和40年、農林省・家畜衛生試験場で最初の『SPF豚』が作りだされています。北海道では昭和49年に飼養が開始され、平成になってから、全道で本格的になってきました。令和5年10月現在で、道内の日本SPF豚協会認定農場は12農場になっています。
 令和4年度の『SPF豚』の出荷頭数はおよそ170,000頭で、道内における全出荷頭数の約12.5%になっています。


『SPF豚』の評価として「肉質が柔らかい」という声を聞きます。普通の豚とどう違うのでしょう。

ホクレン農業総合研究所が、電子顕微鏡と光化学顕微鏡で観察したところ、同一品種でSPF豚肉と一般管理の豚肉を比較すると、SPF豚肉の筋繊維間に含まれる筋肉内脂肪率が多いことがわかりました。加えて隙間が多く、筋繊維自体も細かい傾向にあり、肉のきめが細かいといえます。このためにSPF豚肉は加熱しても柔らかくおいしいのです。

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