道内12エリアをたずねながら、地域ならではの風景や人々、
その土地ご自慢の北海道農畜産物をご紹介。
あなたの身近にもきっとある「北海道のおいしさ」と、そして「北海道がおいしい理由」に触れてみてください。
十勝エリア
十勝を象徴する「十勝晴れ」の風景と「ばんえい競馬」
北海道の中央南東部に位置する十勝は、西に日高山脈、北に大雪山系、南・東部は太平洋に囲まれた、1市16町2村からなる広大なエリアです。夏は内陸部を中心に比較的気温が高く、冬は厳しい寒さに見舞われ、最低気温がマイナス20℃を下回る日もあります。その一方で、全国でも有数の日照時間に恵まれており、特に冬から春にかけては晴天率が高いのが特徴。雲ひとつない澄み切った青空は、「十勝晴れ」と呼ばれ、十勝の気候を象徴する風景として親しまれています。
十勝を代表するもののひとつが、帯広市で開催されている「ばんえい競馬」です。そのルーツは明治時代の開拓期にさかのぼり、畑を耕し、荷物を運ぶなど、農業を支えてきた農耕馬たちの力比べが始まりとされています。体重1t前後の馬が、最大1tの鉄ソリを曳いてコースを進む姿は迫力満点で、世界でもここでしか見ることができません。「北海道遺産」にも登録され、十勝の歴史や文化を今に伝える貴重な存在となっています。
畑作×酪農の複合農業や、多品目栽培が特徴
十勝平野の広大な土壌に加え、全国平均を上回る日照時間、豊富で良質な水資源に恵まれた十勝は、国内でも有数の農業地帯です。一般的に、畑では同じ作物を同じ場所で作り続けると病気が出やすくなり、土の力が弱ってしまいます。こうした障害を防ぐために、生産者は1つの畑で複数の作物を毎年ローテーションで栽培していきます。これが輪作で、とりわけ十勝地域では「畑作4品」といわれる、てん菜・豆類・じゃがいも・小麦のローテーションが主流となっています。
その畑作に、酪農・畜産、あるいは野菜の栽培を組み合わせた複合型の農業スタイルが十勝農業の大きな特徴です。畑で出た作物の茎葉などを家畜の餌に活用し、家畜のふんを堆肥として畑に還元することで土づくりを行う循環型農業が管内に広く根付いています。実際に、ながいもやにんじん、スイートコーンなど管内では多彩な作物が生産されており、そのバラエティーの豊かさも十勝農業の魅力のひとつとなっています。
食料自給率は国内トップクラス、日本を代表する食料生産基地
国内で生産される主要な農畜産物の中には、じゃがいもや小麦など北海道が全国で高いシェアを占める品目が数多くあります。その中でも十勝はひときわ存在感が大きく、たとえば小豆の作付面積は北海道全体の約7割を占めるなど、一大産地として知られています(※1)。また、酪農家1戸あたりの乳牛の飼養頭数は平均で200頭以上。肉牛も飼養戸数・飼養頭数ともに全道一を誇っています(※2)。
農林水産省によると、日本の食料自給率は38%(※3)にとどまっていますが、十勝エリアは1,000%を大きく超える高い水準を維持しています。十勝で生産された農畜産物の多くは全国へと出荷され、日本を代表する食料生産基地として、私たちの食卓を力強く支えています。
※1.農林水産省2024年「作物統計」 ※2.十勝農業協同組合連合会2024年「十勝畜産統計」 ※3.2024年度カロリーベース
地域の財産として育てたブランドを、世界へ
近年の十勝では、労働力不足の課題に対応するため、管内の大学や農業試験場、JAなどが連携し、トラクターの自動運転や農作業用ドローン、衛星データやAIの活用など、先端技術を取り入れた農業の実証試験が活発に行われています。
また十勝は、地域名を冠した農畜産物ブランドが数多く育まれてきたエリアでもあります。地域団体商標に登録されている『十勝川西長いも』をはじめ、『大正メークイン』や『十勝和牛』などがその代表例です。中でもながいもは海外へも輸出されており、品質の高さが国内外で評価されています。
こうした取り組みの背景には、生産者同士が手を取り合い、品質の向上や安定供給に長年取り組んできた歴史があります。産地JAと一体となり、地域ブランドを「地域全体の財産」として大切に育てる思いが、十勝農業の価値を世界へと広げています。