JA道北なよろ

北の産地からこんにちは [Hello from the Northern Farms]

北海道各地の“いま気になる”話題をお届け。
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【 JA道北なよろ 】アスパラガス農家と特産品を守る、未来への投資。

【 JA道北なよろ 】アスパラガス農家と特産品を守る、未来への投資。 【 JA道北なよろ 】アスパラガス農家と特産品を守る、未来への投資。

一目でわかる「色の濃さ」と「力強い味わい」

太くてやわらか、噛むほどに甘みが広がるアスパラガスは、北海道を代表する旬の味覚のひとつです。なかでも名寄市にあるJA道北なよろは、道内一の作付面積と生産量を誇るアスパラガスの一大産地として知られています。アスパラガスの生産者組織「グリーンアスパラ部会」の部会長・藤森将二(まさつぐ)さんは、その特徴をこう話します。「一番の魅力は、色と味の濃さです。スーパーに並んでいても、遠くから一目で名寄産だと分かります」。
この濃い色の理由は、栽培方法にあります。同JA営農センター主任の村上慎吾さんによると、同部会で作付されているアスパラガスは、太陽の光をたっぷりと浴びて育てる露地栽培が主力。しっかりとした歯ごたえと、力強い味わいが生まれます。「実は、アスパラって太さによって繊維の量があまり変わらないので、太いほど水分が多く、筋っぽさを感じにくい。炭火で焼くと甘みがぐっと引き立ちます」と藤森さん。シンプルに焼くだけで、素材の良さがしっかり伝わります。

おいしさの裏にある、リアルな課題

一方で、そのおいしさを支える産地には、見過ごせない課題もあります。全国的に進む農業の担い手の減少や労働力不足は、この地域でも例外ではありません。2015年に194戸あった生産者は、2025年には110戸まで減少しました。藤森さんは「さまざまな要因がありますが、ほかの作物と比べて生産コストが高いことが大きいです」と話します。
アスパラガスは、安定した収量を確保するためには10~15年ごとに植え替えが必要です。「1haに植える苗は数万鉢で、かなりの費用がかかります。しかも、植えてから出荷できるようになるのは3年後。そのタイミングで農家をやめてしまう人も少なくありません」。さらに、収穫はすべて手作業。年間数tにもなるアスパラガスを1本ずつ収穫するため、多くの人手が必要です。「面積を広げたくても簡単ではないのが現実です」と現場の苦労を語ります。

全国でも珍しい「苗」と「堆肥」の無償支援

こうした状況を受け、「このままでは、地域の特産品が失われてしまう」という危機感からJAと市がタッグを組んで始めたのが、アスパラガスの「苗」と「堆肥」の無償提供です。
村上さんは「生産者にとって一番のハードルである初期費用を下げることと、地域の資源を生かすことが狙いです」と説明します。酪農家と連携し、堆肥の活用により地域内で循環する仕組みも整えています。藤森さんも「おいしいアスパラを作るには、毎年たくさんの堆肥が必要です。そこを減らしてしまうと、収量も品質も落ちてしまう。だからこそ、苗と堆肥をセットで支援してもらえるのは本当に大きいですね」と評価します。さらに、植え付け機械の無償貸し出しや、大学生の有償ボランティアなど労働力の支援も行われており、生産者を多方面から支えています。

品質にこだわり、未来の芽を育てる

村上さんによると、スタート当初の2024年度には約9万鉢の苗を配布。2026年度は約8万6千鉢を配布予定で、多くの申し込みが寄せられているそうです。「無償化のおかげでやめようと思っていた人が続けてくれたり、新しく始める人も出てきました」と藤森さん。村上さんは「本格的な成果が見えるのは4〜5年後。未来への投資です」と力を込めます。
収穫の最盛期は5月中旬から6月下旬。部会では品質を維持するため、収穫後すぐに予冷庫に入れ、低温出荷を徹底。道外へは航空便で大切に届けられています。
「小さい頃から、名寄のアスパラが一番おいしいと思って育ってきました。これからも、できるだけ多くの人に届けられるように頑張りたいです!」と藤森さん。畑では今日も、新しい芽がすくすくと顔を出し、大空の下でおいしさを育んでいます。