道内12エリアをたずねながら、地域ならではの風景や人々、
その土地ご自慢の北海道農畜産物をご紹介。
あなたの身近にもきっとある「北海道のおいしさ」と、そして「北海道がおいしい理由」に触れてみてください。
釧路エリア
世界に誇る湿原と希少な野生生物が息づく
北海道東部に位置する釧路エリアは、釧路市、釧路町、厚岸町、浜中町、標茶町、弟子屈町、鶴居村、白糠町の8市町村からなる地域です。面積は北海道全体の約7.2%を占め、茨城県とほぼ同じ広さを誇ります。
北部には阿寒摩周国立公園の阿寒湖、中央部には日本最大の湿原が広がる釧路湿原国立公園、東部には厚岸霧多布昆布森国定公園の霧多布湿原や厚岸湖、別寒辺牛湿原が点在しています。これらはいずれもラムサール条約に登録された国際的に重要な湿地であり、世界的にも貴重な自然環境が形成されています。
太古から受け継がれてきた豊かな自然は、多くの希少な野生生物の命を育んできました。国の特別天然記念物であるタンチョウをはじめ、シマフクロウやオオワシ、キタサンショウウオなどが生息し、多様な生態系が守られています。
牧草と霧が支える、北海道有数の酪農地帯
「霧の街」として知られる釧路市とその周辺では、春から夏にかけて「じり」と呼ばれる海霧が発生し、冷涼で湿潤な気候をもたらします。また、管内の農地は泥炭土壌が多くを占めることから、耕地の大部分は牧草地として活用されており、広大な草地を生かした草地型酪農が発展。北海道を代表する酪農地帯のひとつとして歩みを続けてきました。
酪農は釧路エリアを代表する基幹産業であり、生産された生乳の多くは管内の乳業工場でバターや生クリームなどの乳製品に加工されています。さらに、生乳の一部は高速貨物船「ほくれん丸」によって本州へ輸送されるなど、全国の食卓を支える重要な役割も担っています。
涼しさを生かした、夏大根の名産地
釧路エリアでは、比較的温暖な内陸部を中心に、じゃがいもやてん菜、小麦、そばなどの畑作物が作付けされています。冷涼な気候と広大な農地を生かし、それぞれの土地に適した作物が育てられているのも、この地域ならではの特徴です。
なかでも、鶴居村、標茶町、釧路町にまたがる地域は、国の「夏大根の野菜指定産地」に認定された北海道を代表する夏大根の産地として知られています。夏でも気温が上がりにくい気候は、大根の栽培に適しており、高品質な夏秋どり大根の生産を支えています。
釧路町と標茶町では、『釧路ほくげん大根』というブランド大根が栽培されており、冷涼な環境の中でじっくり育つことで、甘みがあり、みずみずしく、やわらかな食感に仕上がるのが特徴です。夏から秋にかけて収穫され、そのほとんどが道外へ出荷されています。
生乳の価値を育む、6次産業化と食育の取り組み
酪農が盛んな釧路エリアでは、生乳の生産だけでなく、加工や販売までを一貫して手がける「6次産業化」の取り組みが広がっています。特に管内には大小さまざまなチーズ工房が点在し、生産者自らが搾った生乳をチーズへと加工することで、地域ならではの付加価値を生み出しています。こうして生まれたナチュラルチーズは、釧路エリアの魅力を発信する特産品として注目を集めています。
また管内では、地域の食材や食文化を次世代へつなぐ食育活動にも力を入れています。令和7年度には、地元の大学生を対象に「チーズ作り出前授業」を開催。管内産の低温殺菌牛乳を使ったチーズ作りを体験しながら、地域産牛乳・乳製品の魅力や生産者への理解を深め、未来の地域農業を支える食への関心を育んでいます。