ホクレン清水製糖工場
｢生産者が作ったてん菜を､無駄なく製品にしています｣
収穫されたてん菜は、工場で加工され、おなじみの「てんさい糖」に生まれ変わります。
毎年10月中旬頃から翌年３月まで、工場は24時間フル稼働で製造しています。
ホクレン清水製糖工場 総務課長 佐藤 昌憲さん
全国に誇る技術でニーズに応える
てん菜を100%使い、「てんさい糖」やグラニュ糖、上白糖を製造しているのが、十勝･清水町にある『ホクレン清水製糖工場』です。1962年に操業し、87年から「てんさい糖」の製造をスタート。設備の増強を経て、現在は１日当たり約3000tのてん菜の処理能力を誇っています。
同工場の佐藤総務課長によると、昨今の健康意識の高まりから、ここ数年「てんさい糖」の需要は、増加傾向にあるといいます。
「弊会が製造・販売する『てんさい糖』は、せっかくなら体にいいものを使いたい、という消費者のニーズに見合う商品というのが人気の理由だと考えています。一時期は供給量が追いつかず、一部の店舗では欠品が発生したこともありました」
「てんさい糖」の最大の特徴は、５％以上含まれているてん菜由来のオリゴ糖です。（「てんさい糖」大解剖参照）佐藤課長は「製糖工場は各地にありますが、一定量のオリゴ糖を含むてんさい糖の製造技術は、工場の自慢です」と胸を張ります。
一般的に、グラニュ糖、上白糖などの砂糖の結晶を作るには、オリゴ糖が含まれている蜜分を取り除く必要があります。（下図参照）一方で、「てんさい糖」はその蜜分を用いて製造するため、オリゴ糖やミネラルなど体にうれしい成分が残っています。
同工場では設備の改良や製造方法の改善に取り組み、さらなる増産に向けた計画を進めています。
生産者と消費者の笑顔をつなぐ存在
全道的に猛暑に見舞われた2023年は、十勝でも記録的な高温が続き、その年に収穫されたてん菜の平均糖分は、13.８％と過去最低となりました。
「１kgのてん菜から取れる砂糖の量は、簡単にいうと原料の糖分が17％なら、約170gの砂糖が作れるのに対し、同じ重さでも糖分が13％なら約130gしか作れないんです」
そこでふと、素朴な疑問が浮かびます。「天候によって、毎年てん菜の出来が変わるなら、実のところ砂糖も、毎年微妙に味に違いがあるのでは？」と。その答えを佐藤課長に聞いてみると「年によって原料の品質はどうしても異なってしまいますが、製品の味は全く変わりません」と言い切り、こう付け加えます。
「製糖工場の使命は、消費者に高品質の砂糖をお届けすることです。どんな年であっても最終製品の品質は、99.9％の純度に仕上がるように、四苦八苦しながら調整しています」
同工場には、製造以外に原料を担当する農務部門も設けられています。担当者は生産者に畑づくりから栽培管理までてん菜の技術指導を行い、品質の維持に努めています。
「私たちホクレンは、生産者のための組織です。ですから、生産者が作ったてん菜はすべて受け入れ、無駄なく製品にしています」
てん菜の種子生産から砂糖の製造・販売までを一貫して担う立場として、佐藤課長は次のように話します。
「ホクレンのコーポレートメッセージは〝つくる人を幸せに、食べる人を笑顔に〟です。個人的には、その思いを最も体現する場所が私たちの工場なんだ、という強い思いを持って働いています」
