北海道北部、留萌管内の8市町村(天塩町、遠別町、初山別村、羽幌町、苫前町、小平町、留萌市、増毛町)からなるJAるもい。日本海の冷涼な気候を生かした花き栽培が盛んで、中でもトルコギキョウ(英名:リシアンサス)は、年間約20万本を出荷する主力品目で「るもい花き生産組合」に所属する16戸の生産者によって栽培されています。
「一輪一輪を真心込めて丁寧に作る」という思いのもと、近年の需要に合わせ1輪仕立てで栽培するのが特徴で、2019年に『モノリシアン』(「mono(一つ)」+「リシアンシス」の造語)という名でブランド化。例年7月から11月にかけて主に道外のほか海外にも輸出しています。

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高橋 淳さん(JAるもい)
- 大阪府出身。2014年に留萌市に移住後、2017年に新規就農。トルコギキョウのほかスターチス、アスター、クリスマスローズ、ダリアなどを栽培。2023年より「るもい花き生産組合」の副組合長として活躍。
JAるもいの特産物
『トルコギキョウ』とは?
■高橋さんの1日(9月の一例です)

21品種のトルコギキョウを、
年間約5万本以上生産
高橋さんは「るもい花き生産組合」の中でも3戸しかいない花き専業農家で、トルコギキョウを筆頭に、スターチス、アスター、ダリア、フロックス、クリスマスローズ、エキナセアなどを栽培しています。
4棟のハウスで栽培するトルコギキョウは実に21品種に上り、出荷数は年間約5万本以上。例年7月から始まる切り花の収穫は、暑さで弱る日中を避けて早朝に行います。高橋さんは咲き始めの花を見つけると、1本1本ハサミを使い根本部分をカットしていきます。「花冠は小さくても出荷できますが、大きなものほど等級が上がります。自分の握りこぶし1つ分、直径約10cm以上あるのが理想的。丈の長さは40cmという出荷基準があるので、基準を下回らないように長めにカットします」と説明します。
9月上旬の最盛期には一日約1,500本を収穫。「それ以降は寒さで咲きにくくなるので、朝晩は暖房で加温しています」と高橋さん。トルコギキョウの収穫は、11月中旬頃まで続きます。
北海道の自然に憧れ、
ゼロから就農
2014年に留萌市に移住するまで、北海道に一度も来たことがなく、農業経験もなかったという高橋さん。以前は「自然の中で働くほうが自分に合っている」と、長野県のスキー場に勤めていたそう。「その頃に、知人が北海道の農業法人で働き始めたと聞き、自然の多い北海道での就農に興味を持ち始めました」と話します。
高橋さんは道内で移住先を探す中、新規就農者の支援を積極的に行っていたこと、またJAるもいに花づくりの名人がいたことも留萌市を選んだ決め手になったといいます。「これまで農業に花の生産があることすら知りませんでしたが、花づくりは稲作や畑作に比べると、初期投資が抑えられることにメリットを感じましたし、シンプルにきれいな花を育ててみたいという思いに駆られました」。
10年花を育てても、
1年生を痛感する日々
就農前、花づくりの名人のもとで2年間研修した高橋さんは、トルコギキョウの栽培に10年近く携わってきました。「就農当初は良い花を作ることに必死でしたが、ここ何年かは経営者の意識も芽生え、品質の良いものを安定的に生産することに主眼を置くようになりました。だからこそ花づくりは難しいと、つくづく感じる日々です」と高橋さんはしみじみと語ります。
1輪仕立てのトルコギキョウづくりでは、花冠が大きく、しっかりと強い茎を育てることが肝心だと高橋さんは言います。脇枝がなくてもピンと一直線に自立する花に仕上げるには、脇芽や花芽を適切に摘み取ることが大切です。夏場に高温が続いた今年は、ハウス内の室温が35度以上を記録する日もあり、トルコギキョウはもちろん高橋さんにとっても苦しいシーズンでした。「水やりの加減一つとっても難しく、師匠と同じように育てているつもりでも、まだまだ足元にも及びません。 “毎年1年生だ”と師匠はいまだに口にするので、技術の向上にゴールはないと痛感しています」
期待を裏切らない
立派な花をつくりたい
トルコギキョウの魅力について、「大輪で存在感があり、1輪挿しでも絵になる品種が多いところです」と高橋さん。好きな品種は紫系だといい、「色もきれいですし、花が大きく育ちやすいので作りがいがあります」と笑顔を見せます。
高橋さんは、色とりどりのトルコギキョウを愛おしそうに眺めながら「我々の組織には優れた技術を持つ先輩たちが多くいますが、引退によってその技術が失われてしまうことに産地としての危機感を感じています。できる限りそれらの技術を受け継いで、多くの方々の期待を裏切らない立派な花をつくり続けていきたいです」と力強く語りました。
