吉田公司さん
(JA北はるか)
農家の時計

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今回の農家さん

吉田公司さんJA北はるか
網走市出身。大学進学を機に上京、卒業後は学習塾の講師として、首都圏や札幌など全国各地で勤務。2008年に下川町に移住し就農。2017年よりJA北はるか青果生産振興会トマト部会の部会長として活躍。

JA北はるかの特産物
『フルーツトマト はるかエイト』とは?

北海道の北部に位置する、下川町・美深(びふか)町・音威子府(おといねっぷ)村で栽培されたフルーツトマトのブランド。収穫期は、6月上旬〜10月下旬。夏場でも気温の寒暖差が大きい土地柄を生かし、徹底した水分管理で、トマト本来の甘みを最大限に引き出しているのが特徴。集荷されたトマトは、1個1個を光糖度センサーに通し、糖度8度以上のものだけを『はるかエイト』として出荷しています。

■吉田さんの1日(9月上旬の一例です)

ピークを迎え、
朝から夕方まで収穫作業で大忙し

フルーツトマトの収穫は、赤く色づく前に摘み取るのが鉄則。「収穫してから市場に並ぶまで3、4日かかるため、赤くなってからだと遅いんです」と吉田さん。「生産者ごとに収穫の仕方は違いますが、うちは妻と二人だけなので、コンテナごとに出荷できるものとできないものを大まかに選別します」と説明します。 収穫のピークはその年によって異なるそうですが、吉田さんのハウスでは例年7月下旬と9月上旬の2回。「収穫量は、1日平均100kg程度ですが、ピーク時は200kgにもなります。そうなると収穫と選別作業で1日が終わってしまいますね」

フルーツトマト作りに必要なのは、
観察力

「これは普通の大玉トマトと同じ、桃太郎という品種です。水やりの量とタイミングをコントロールして厳しい環境で育てると、すごく甘くなるんです」と吉田さん。水を与え過ぎると大きくなり過ぎて、糖度が落ちるそうですが、逆に水の量が足りないと、尻腐れなどの障害が出てしまうのだそうです。
吉田さんは、「基本的に、1日生きられる量しかやりません」と説明しますが、「毎日状態が違うので、日々細かくメンテナンスしなくちゃいけない。トマト作りは想像していた以上に難しいけれど、手間をかけた分おいしいトマトが実ると想像以上の喜びがありますね」
フルーツトマト作りに必要なことは? そう吉田さんに質問すると「トマトだけに限らないと思いますが、観察力ですね。細かい変化に気づいて、対処する。お医者さんみたいなものです。まぁ、10年やっても分からないことだらけですが」と苦笑まじりに答えてくれました。

下川町をフルーツトマトで
全国区に

前職は、札幌市内で塾講師をしていたという吉田さん。「就農しようと思ったのは、サラリーマンから新規就農して成功した人のホームページをたまたま見つけたのがきっかけです。覚悟を決めるまでに4年くらいかかりました」と笑います。下川町を選んだ理由について、「就農条件が緩やかで担当者が親切だったから。新規就農の先輩を何人か紹介してもらい、経営も子育ても順調な話を聞いてやる気になりました」と振り返ります。
下川町では、今期30万株以上のフルーツトマトの苗を栽培。吉田さんによると、移住した10年前は8人だった新規就農者(家族を含めた)の集まりが、今年は40人近くまで増えたと言います。
「下川町は、 “レジェンド”こと葛西紀明選手など、オリンピック出場選手を数多く輩出するスキージャンプの町として知られていますが、僕はフルーツトマトの産地で全国区にしたい。そのために、トマト作りの仲間をまだまだ増やしたいですね。新規就農を考えている人には、ひと肌もふた肌も脱ぎます。僕もできたから、やる気さえあれば誰でもできます!」

北限のフルーツトマトは甘い!

「夏場のトマトで、ここまで甘みがあるのはうちくらいじゃないかな?」
吉田さんのこの発言の背景には、九州など主産地の多くが、夏の間トマトの栽培を休んでいるという事情があります。「本州の方でも、夏は暑すぎてトマトが作れないんです。だからこそ“下川町に任せろ!”と言いたいですね」。実際に『はるかエイト』を試食したところ、甘みの強さにびっくり! 小さなトマトに濃厚な甘みとほどよい酸味が凝縮されていて、ひと口食べると思わず笑みがこぼれます。
「下川町一帯は、フルーツトマト栽培の北限地。夏場でも昼夜の寒暖差が10度くらいあるため、甘みがのっています。全国のフルーツトマトの中でも、うちが一番おいしいと思います」と吉田さんは胸を張ります。そんな高糖度が売りのフルーツトマトですが、「完熟する前に食べてしまう人が意外と多い」と吉田さんは指摘します。「トマトを買ったら、完全に赤くなるまで常温で追熟させてください。さらに甘さが増します!」