植村 登さん
(JA道央)
農家の時計

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今回の農家さん

植村登さん(JA道央)
江別市出身。短期大学を卒業後20歳で就農、現在56歳。妻と娘、息子の4人家族で、夫婦2人で営農。2013年からJA道央 江別スイートコーン生産部の部長を務める。趣味は釣り。年1、2回出かける海釣りが楽しみ。

JA道央の特産物
『スイートコーン』とは?

北海道は、全国のスイートコーンの収穫量の約4割を占める、全国一の産地です(農林水産省『平成29年産 野菜生産出荷統計』より)。
スイートコーンは、日中に光合成で得た養分を蓄え、夜間は呼吸することでその養分を使います。北海道は、日が沈むと気温が下がるため呼吸が抑えられ、養分が減りづらいことから、甘みの強いスイートコーンが育つのです。

 

JA道央では、その日収穫したスイートコーンのコンテナでの受け入れを午前10時に締め切っています。集荷施設内では、真空冷却機を導入し早朝のうちに収穫したスイートコーンを急速冷却することで長時間食味と鮮度を保てるよう取り組んでいます。‶朝どり品質″にこだわりながら、当日中に冷蔵トラックに積み込み、道内はもとより、関東方面へも出荷されています。

■植村さんの1日(8月上旬の一例です)

早朝の4時半から、
手もぎで収穫

スイートコーンの収穫作業は早朝の4時半から。10時までに出荷する数は、1日におよそ1500本以上、10キロのコンテナで60〜70ケースにもなるそうです。
手もぎで一本一本収穫した後は、手で一本一本触り、虫食いがないか、基準サイズ(420g以上)を満たしているかを選別します。「手で持てば重さはだいたい判断できるので、微妙な重さのものだけを量ります」と植村さん。
出荷作業が終わると、ほかの畑を耕し、次の作物のための土づくりを行います。「雨が降れば寝ちゃうんだけど、今年は雨が降らないのでけっこう働いています(笑)」

食べ比べで、
品種の違いを味わって

スイートコーンは、イエロー系、ホワイト系、イエロー×ホワイトの粒が混在するバイカラー系と、粒の色によって3種に大別され、たくさんの品種があります。
植村さんが栽培しているのはイエロー系『恵味(めぐみ)ゴールド』と『わくわくコーン82』。植村さんによると、恵味ゴールドは、甘みが強く、食べごたえのある大きさが魅力。一方、わくわくコーン82は、発芽と生育が良く、糖度が高いながらもスッキリした甘さが特徴だといいます。
「わくわくコーン82の栽培は、2、3年前から。去年の収穫時に糖度を測ってみたら20度もありました。品種によって甘さに違いがあるので、食べ比べをするとよく分かりますよ」

 

さてここで、知っているようで意外と知らないスイートコーンにまつわる豆知識をご紹介します。
スイートコーンの先端には、ひげのようなものがついていますが、その本数は粒の数と同じだそうです。
またスイートコーンは、1本の茎に2つ程度の実がなりますが、収穫するのは一番上だけ、というのも驚きです。「2番目は受粉がうまくいってない場合が多くて、見た目が立派でも食べられるところが意外と少ないんですよ。ほとんどはそのまま畑にすき込んで肥料にしちゃいますね」と植村さん。
ちなみに、ピクルスなどによく使われるヤングコーンは、スイートコーンと同じ品種。実が小さいうちに収穫しているものだそうです。

収穫作業には
キャリアが必要

8月は、まさに収穫の最盛期。夏休み期間のため、帰省中の息子さんが手伝ってくれるそうですが、もぐのは植村さん一人だけとのこと。「慣れていないと、未熟なものまでもいでしまうことが多いんです。甘みがのる前に収穫してしまうと、廃棄するしかありません。収穫は時間との戦いですが、冷静に見極める目も必要です」
収穫作業は9月まで続きますが、その合間に病害虫の防除作業も行います。「先端の柔らかいところからアブラムシや、ガの幼虫が入ることがあるんです。気温が高い今の時期が最も注意しなければなりません」と植村さんは苦労をにじませます。

先端が丸いものを選び、
すぐに調理を

店頭でのスイートコーンの選び方を植村さんに教えてもらいました。「実が大きくてボリュームのあるものはおいしいです。先端が丸くなるほど、粒がぎっしりと詰まっているものを選ぶといいですよ」。
スイートコーンは、収穫から時間が経つにつれ、糖度がどんどん減少するので、購入後はすぐに調理するのが肝心とも。「さっとゆでて冷凍しておけば、ピザのトッピングなど何にでも使えます。コーンスープは、牛乳で薄めないと甘過ぎに感じるくらい、濃厚な味になります」
 
最後に、植村さんに産地の特徴を尋ねると、「生産者はベテランばかりで、品質には自信があります。JA道央のスイートコーンをぜひよろしくお願いします!」と誇らしい笑顔で答えてくれました。