Q
就農したきっかけは?
その時に思っていたこと、苦労したことは?

牧場主を夢見て北海道へ。
忙しい毎日さえも楽しく
熊本の実家は稲作兼業農家でした。高校時代に酪農実習で訪れた北海道の大自然と、農業に専念できる環境に憧れを抱き、卒業後すぐに北海道へ渡りました。道内とオーストラリアで約14年研修し、豪州では自然を最大限に活用する放牧酪農に感銘を受けました。この土地に入植した当時は、3人の子育てと数十頭の牛育てでてんてこ舞い。それでも、牧場主の夢がかない毎日が楽しかったです。

後継者になるためUターン。
朝早い生活に慣れず苦労
365日、牛たちの世話に明け暮れる両親の姿を見て育ち、自分にはできないと高校卒業後に家を出ました。建築系の学校に進学し、東京で就職しました。次第に残業が増え、多忙を極めていた時に「後を継いでほしい」という父の願いを聞き入れて、30歳で実家に戻りました。頭では分かっていましたが、休日がないことや早起きが、ただただ辛かったです。この生活に慣れてきたのはごく最近です。
Q
次世代に受け継いでもらいたいことや、
先代から受け継いでいきたいことは?

「足るを知る」酪農で、
命を大切にする牛飼いに
自然を生かし、自然と共存する農業に誇りを持ち、可能な限り放牧酪農を続けてもらいたい。生産性を求め過ぎると経営に追われてしまい、牛との距離が離れてしまう気がします。牛と人の健康的な生活を第一に考えて、命を大切にする牛飼いになって。長い目で見ると、生活を楽しみ、自分の身の丈にあった「足るを知る」酪農をしていれば、自ずと結果はついてくると私は信じています。

放牧の価値を広めて
新規就農者の受け皿に
北海道の酪農といえば、放牧の風景を思い浮かべる人が多いはず。しかし酪農が盛んなこの町でも放牧型は4割以下に減少しています。一般的な飼育方法に比べると、放牧は乳量が少ないことが弱みです。それでも低コストや運動面などの強みもあり、放牧の価値を広めたい。都会での生活や異業種の経験を生かして、新規就農者の受け皿となる場所を作りたいという夢も描いています。