乳用種肥育牛の見方
乳用種肥育牛の見方が変わると、
おいしさが分かる


脂身の少ない肉質が特徴
一般的にホルスタインをはじめとする国内の乳用種肥育牛は、出荷まで約20カ月もの期間を要します。交雑種は26カ月以上、和牛の代表格である黒毛和種はさらに長く、約28カ月以上の期間をかけて育てられます。
肉質もそれぞれ異なり、乳用種肥育牛は脂身が少ないのが特徴です。近年、嗜好(しこう)の多様化や健康志向で、霜降り(脂肪交雑)の少ない赤身肉のニーズは高まっています。
格付けの目安を正しく理解
国産牛肉の多くは牛枝肉取引規格に基づいて一頭一頭格付けされます。例えば焼肉店で見かける、「A5ランク」などの表示がそう。A5の肉と聞くと、ほとんどの人は「霜降り」「やわらかい」など、最上級の証というイメージを抱いているのではないでしょうか。
この格付けを定めた『公益社団法人日本食肉格付協会』の基準は上図の通り。食味試験に基づいてランク付けされる米とは異なり、「どれだけ肉が取れるのか」「霜降りはどのくらいあるのか」などの観点で価格が決まり、取引価格の基準となります。その結果、肉専用種はAランクが多く、骨太で肉が多く取れない乳用種はB~Cが中心です。
赤身の部分のうま味や香り、かんだ時の食感など、牛肉には多様なおいしさがあります。乳用種肥育牛が多く格付けされるB2の肉でも、おいしい牛肉がたくさんあるということ。国産牛肉を正しく理解できれば、乳用種肥育牛肉の見方も変わるはずです。
府県産牛肉でも北海道出生も
ところで皆さんは、国産牛肉のラベルに印字されている10桁の個体識別番号をご存じでしょうか。これは一頭の牛ごとに割り振られた固有の番号で、いわば牛のマイナンバーのようなもの。いつ、どこで生まれたのか、さらに、品種や生産者の氏名などもインターネットで公表されており、国産牛肉への信頼にもつながっています。
北海道は、肥育牛として飼養される前の素牛の供給地でもあります。一般的に、生まれた子牛は9カ月頃まで繁殖農家で育成され、市場へ出荷されます。そのため、都府県産の乳用種肥育牛であっても、生まれは北海道ということもあるかもしれません。生産履歴は、誰でも手軽に、しかも無料で確認できます。皆さんも大いに活用して、北海道出生の牛を見つけてみてはいかがでしょうか。
ブランド化で特色も多様化
近年は乳用種肥育牛のブランド化も進み、道内各地で生産された牛肉は、特産牛肉として全国に出荷されています。その特色は飼料や、肥育方法などさまざま。銘柄の数だけ生産者のこだわりがあります。北海道の乳用種肥育牛肉は、地域固有の牛肉へ。そのおいしさは新たなステージへと向かっています。