軽種馬の放牧
(JA門別/日高町)

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軽種馬の放牧(JA門別/日高町)

【 60 秒 】

北海道農業の「今」を動画で伝える「北海道NOW」。今回は、競走馬の生産が盛んな日高町から、軽種馬牧場の様子をお届けします。1頭1頭大切に育てられている馬たちが牧場内を走る優雅な風景をご覧ください。

  • 日高は日本を代表する馬産地
    JA門別のある日高地方は、軽種馬の生産・育成が盛んで、国内生産頭数の約8割(※)を占める日本一の産地です。軽種馬とは、サラブレッドに代表される軽量かつ競争や乗用に適した馬のこと。意外に思われるかもしれませんが、軽種馬の生産・育成も農業の一つです。各牧場では、馬たちが競走馬として活躍できるよう、育成環境を整え1頭1頭大切に育てています。
    ※(公社)日本軽種馬協会「2023 軽種馬統計」
  • 冬は朝5時から夕方まで放牧
    軽種馬生産牧場の一つ、日高町にある天羽禮治(あまばれいじ)牧場では、現在、約90頭を飼育しています。取材に訪れた冬は、毎朝5時に厩舎で餌やりを開始。1頭ずつ全身の健康チェックをし、放牧地へと送り出します。夕方4時半になるとスタッフが1頭ずつ手綱で誘導しながら厩舎へ。その際にも馬体や爪のチェックを行い、ケガがあればすぐに治療します。厳しい寒さが和らぐ2月下旬になると、放牧は夜間も。放牧地で馬たちは自由に草を食み、運動しながら過ごします。子馬が1日に歩く距離は10~18kmにも及ぶそうで、運動量はかなりのものです。
  • 1月下旬から5月は出産シーズン
    天羽禮治牧場では30頭の雌馬が出産を控えていました。馬の妊娠期間は11カ月と長く、出産シーズンは1月下旬から5月まで。「その時期は、普段の業務に加えて出産と種付けも重なるので大忙しです」と、代表の天羽里美さん。産まれた子馬は夏頃まで母親と一緒に過ごしてから離乳します。1歳の秋になると育成牧場へ。2歳の夏になると競走馬としてデビューする馬も。「大切に育てた馬がレースで活躍してくれると、本当にうれしいですよ」。天羽さんは、そう言って笑顔を見せます。
  • 人づくり、環境づくりで良馬を育む
    天羽さんに、軽種馬生産にとって大切なことを聞くと、「牧場を創設した父からは、土づくりが大事だと教わりました」と返ってきました。放牧地の土は馬が脚を痛めないよう、牧草地の土は良質な牧草が育つよう、土づくりに妥協はできないといいます。また、「競走馬は人とコミュニケーションを取ることが不可欠。そのため、日ごろからコミュニケーションをよく取るのはもちろんのこと、馬をお世話する人を育てることも大事。それから広々とした放牧地、快適な厩舎など環境面を整えることも大切です」とも。日高山脈と太平洋に囲まれたこのエリアで多くの良馬が誕生しているのは、恵まれた自然に加えて、こうした馬を大切に思う生産者の情熱があるからにほかなりません。