Vol.47
北海道ニセコ
高等学校
國方 龍成さん

わたし × 農業

私が農業に恋した理由
北海道の高校、専門学校、短大、
大学では、たくさんの学生さんが
農業を学んでいます。
農業のどんなところが魅力?
学んでみて知った醍醐味は?
好きだけど大変と感じることは?
青春ど真ん中の日々での実感、
将来の夢などを聞いていきます。

北海道ニセコ高等学校

北海道ニセコ高等学校 國方龍成さん

世界的なリゾート地ニセコ町のシンボル、羊蹄山の麓に位置し、全国唯一の「緑地観光科」を開設。英語を中心とする普通科の教育に加え、2年次以降は「アグリフードコース」と「グローバル観光コース」に分かれ、専門的な知識と実践力の養成にも力を注いでいます。開校から78年目となる2026年度、「起業家教育」と「国際教育」にウエートを置く「進学型単位制総合学科」の新しい学校へと生まれ変わります。

北海道ニセコ高等学校
048-1501 ニセコ町字富士見141番地9
https://niseko.ed.jp/
TEL:0136-44-2224

  • 國方さん

    國方さん

  • GREEN編集室

    GREEN編集室

GREEN編集部 こんにちは!國方さんは、道東の美幌(びほろ)町の出身だそうですね。美幌町から直線距離で約300kmも離れたニセコ町の高校へ進学したのは、なぜですか?

國方さん 3歳の頃から地元でスキーをしていたこともあり、ニセコのパウダースノーに憧れていました。ニセコに住んでその雪を体験したいという夢があり、ニセコ高校に入学すれば農業を学びながら、素晴らしい雪でスキーができると思い、進学しました。

GREEN編集部 ご両親は、美幌町で農業をされているのですか。

國方さん はい。約48haの畑で、ながいも、ごぼうをメインに、麦や馬鈴しょ、キャベツを生産しています。小学校低学年の頃、広いキャベツ畑をずっと走り回っていて、それがすごく楽しかった記憶があります。その一方で、両親が手作業でキャベツを収穫している姿を見て、「農業は大変そうだな」とも感じていました。

GREEN編集部 さきほどのお話では、高校で農業を学ぶことは決めていたようですが、実家を継ぐ気持ちも固まっていたのですか。

國方さん いいえ、それは高校に入ってからです。父と農業の話をすることはほとんどなく、農業への関心も薄かったのですが、高校で農業の勉強を進めていくなかで、気持ちが変わっていきました。大学に進学して農業を学び、実家を継ぐと決めた今は、毎日のように両親と連絡を取り、農業について話をしています。

GREEN編集部 ニセコ高校での学びが、農業に目覚めさせたんですね!國方さんが選択した「アグリフードコース」では、どのような実習、勉強をしているのですか?

國方さん このコースは、持続可能な農業に関する知識・技能を身につけたグローバル人材の育成を目標にしています。そのため、作物の栽培は、有機JAS認定を受けた校内のほ場で行っています。農薬を使わずに病害虫の発生を抑えるためには、いろいろと工夫しなければならないことがあり、苦労しました。農業担当の牛島皐佑(こうすけ)先生(写真左)からは、多くのことを教わりました。

GREEN編集部 國方さんは、そのほ場でどのような作物を栽培しましたか。

國方さん ピーマンや大豆、かぼちゃ、さつまいも、玉ねぎ、落花生など、たくさんの品目を栽培させてもらいました。さつまいもを収穫した後、キュアリング作業も行いました。キュアリングとは、高温多湿の環境で3日間以上、さつまいもを密閉する処理のことで、収穫時についた傷口をふさぐことで、病原菌から守り、腐りにくくする効果があります。キュアリングの有無によって糖度や保存性が大きく変わることを学びました。また、キュアリングする前後のさつまいもを焼いもにして食べ比べたところ、キュアリング後は味も大きく変わり、糖度も上がっていたことが印象的でした。

GREEN編集部 その他にも、農業をもっと学びたいと思うきっかけになった授業や研究はありましたか。

國方さん 僕が高校2年生のときに始まった「冬期ホワイトアスパラガスの袋栽培プロジェクト」に参加したことが大きかったです。ニセコ高校には、エアハウスといって地中熱を活用したハウスがあり、化石燃料の使用量も少なく、冬期も栽培が可能です。このプロジェクトでは、酪農学園大学の園田高広教授(写真右)にアドバイスをいただきながらホワイトアスパラガスを栽培しました。

GREEN編集部 それは、貴重な機会ですね。國方さんはどのような役割を担ったのですか。

國方さん 班長として活動しました。このプロジェクトでは、収穫して終わりではなく、販売までのプランを立てました。昨年度は、地域のフレンチレストランに販売することができましたが、将来的には、冬にニセコにインバウンドで訪れる方々に向けて、ホテルのロビーに自ら収穫できるような環境を整え、通常より高価格帯で販売できるようにしたいとも考えています。販売価格の目標は100g800円を設定しましたが、購入者のニーズに合った商品を作ることができているのかという課題が残りました。

GREEN編集部 販売価格や販売方法まで考えるとは、かなり実践的ですね。

國方さん 園田教授や大学生の皆さんと一緒だったからこそ高度な研究方法に取り組むことができ、意見交換もできました。この経験が、僕自身も大学に進学したいと考えるきっかけになりました。ニセコ高校で学んだ有機栽培の知識を大学でも活用し、引き続き学びたいホワイトアスパラガスのことや、土壌学を学びたいです。

GREEN編集部 大学で学び、やがて就農したら、どんなことにチャレンジしたいですか。

國方さん 今まで父が行ってきた農業を引き継ぐと共に、新しい品目を取り入れていきたいです。また、北海道の農業の担い手不足が進んでいるので、農業の魅力を発信していくことのできる生産者になりたいと考えています。

GREEN編集部 ニセコ町で暮らして、スキーは十分に楽しめましたか。

國方さん はい。冬休みや週末はほぼ毎日スキー場に通っていました。夏はランニングクラブに所属しているので町内をよく走り、ハーフマラソン2回、10kmのトレイルランを一度完走しました。いつか、フルマラソンにも挑戦したいです。

GREEN編集部 充実したニセコ生活だったことがよくわかりました。これからも、國方さんらしくがんばってください!ありがとうございました。