Vol.24
藤女子大学
食品微生物学研究室のみなさん

わたし × 農業

私が農業に恋した理由
北海道の高校、専門学校、短大、
大学では、たくさんの学生さんが
農業を学んでいます。
農業のどんなところが魅力?
学んでみて知った醍醐味は?
好きだけど大変と感じることは?
青春ど真ん中の日々での実感、
将来の夢などを聞いていきます。

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藤女子大学
人間生活学部 食物栄養学科 食品微生物学研究室のみなさん

藤女子大学は、北海道内唯一の4年制女子大学。藤学園の創立者、カトリック札幌教区初代教区長キノルド司教の意思を受け継ぎ、キリスト教的世界観や人間観を土台として、女性の全人的高等教育を通して、人類社会に対する愛と奉仕に生きる高い知性と豊かな人間性を備えた女性を育成しています。文学部と人間生活学部、人間生活学研究科で構成されています。

藤女子大学
北16条キャンパス(文学部)
001-0016 札幌市北区北16条西2丁目
TEL:011-736-0311(代)
花川キャンパス(人間生活学部、大学院)
061-3204 石狩市花川南4条5丁目
TEL:0133-74-3111(代)
https://www.fujijoshi.ac.jp/

  • 食品微生物学研究室のみなさん

    食品微生物学研究室のみなさん

  • GREEN編集室

    GREEN編集室

GREEN編集部 北海道で唯一の4年制女子大学である藤女子大学の学生さんがワインを造っていると聞き、それは楽しそうと、今回ご登場をお願いしました。みなさん、よろしくお願いいたします。

食品微生物学研究室のみなさん はじめまして。私たちは、人間生活学部食物栄養学科の4年生で、発酵など微生物の研究を行う池田隆幸教授のゼミ生です。このゼミでは、キャンパス内の畑でワイン用ぶどう「ピノ・ノワール」を栽培し、北海道中央葡萄酒(株)さんにご協力いただいて、ワインを造っています。2007年から続いているんですよ。

GREEN編集部 いま造っているのは15代目になるんですか、すごいですね!みなさんも、ワイン造りにひかれてゼミを選んだんですか?

食品微生物学研究室のみなさん それも理由の一つですね。大学でワインを造れるなんてすごいことですし、自分たちで味やパッケージまで決められると聞き、おもしろそうだと思いました。ワインが好きだからという、シンプルな動機の人もいます(笑)。

GREEN編集部 では、ワイン造りのプロセスを、順を追って教えてください。

食品微生物学研究室のみなさん まず、ぶどう畑の雪囲いをとくのが最初の仕事です。畑には「ピノ・ノワール」の木が8本植えてあり、この木は池田教授が懇意にしている北海道中央葡萄酒(株)さんから、2005年に枝を分けていただいたもので、先輩のゼミ生が挿し木で苗を作り、キャンパス内の畑に植えたと聞いています。

GREEN編集部 先輩たちが大切に育ててきた木ですから、お世話もしっかりやらないといけませんね。

食品微生物学研究室のみなさん 剪定も草取りも、私たちが行います。草むしりは地道な作業ですが、真夏の猛暑日も休まず、ある時は蚊と闘いながらコツコツ続けました。枝を守るために網を巻く作業は、強風で取れてしまわないように、細かい枝にもしっかり巻きつけなければならず、これも大変でした。でも、ぶどうの成長のために、このような作業が必要だということを学ぶことができました。

GREEN編集部 「良いワインは、良いぶどうから」ということなのでしょうけれど、収穫まで目を離せず、気苦労も多かったでしょうね。

食品微生物学研究室のみなさん そうですね。池田教授は、「ワイン造りにはぶどうが大事」、「ぶどうの出来が9割」とよくおっしゃっています。

GREEN編集部 愛情を持って育てたぶどうの収穫はいつ頃ですか。

食品微生物学研究室のみなさん 10月下旬で、収穫したぶどうは、北海道中央葡萄酒(株)さんに持ち込みます。ここで余市産ぶどうと合わせて約200kgのぶどうを手で除梗(じょこう)するんです。

GREEN編集部 除梗とは?

食品微生物学研究室のみなさん ぶどうの実から茎や軸を取り除くことです。通常は機械で行う工程ですが、私たちはかびた粒や古くなった粒を細かく選別して、手で取り除きます。こうすることで、果実以外のものが入ることを防ぎ、より果汁本来のおいしさが感じられるワインになります。清潔に作業を行うために、使用している手袋が破けた時や、マスクを触った時などはこまめに替えるようにしていました。

GREEN編集部 次はいよいよ、ぶどうの搾汁ですね。

食品微生物学研究室のみなさん はい。搾汁は5年前までのゼミ生は手で行っていたそうですが、いまは機械にお任せしています。私たちは後片付けを済ませ、醗酵開始を確認したら、ワインの試飲をします。どんな味のワインにするかをみんなで相談して決め、北海道中央葡萄酒(株)さんにお願いしたら、あとはワインができるのを待つだけです(笑)。

GREEN編集部 「藤女子大学ワイン2021」は、どのような味にすることにしましたか。

食品微生物学研究室のみなさん 甘口と辛口で意見が分かれたため、間の中辛にすることにしました。甘口と辛口のいいとこどりができればと。

GREEN編集部 ワインが寝ている間に、みなさんはラベルデザインなどの準備を進めるんですね。

食品微生物学研究室のみなさん そうです。下の写真は、歴代の「藤女子大学ワイン」です。どれもラベルデザインなどが凝っているので、私たちも素敵なものを作りたいです。年末に試飲ができるので、その時は、池田教授や研究室の友人たちと、今年を振り返りながら味わいたいです。完成は来年3月の予定です。寄り添うように心を込めて育てたぶどうのワインですから、家族や友人、大切な人と一緒に飲みたいと、ゼミ生それぞれが楽しみにしています。

GREEN編集部 ワイン造りを経験して、農業に対する興味や関心、気づきなどはありましたか。

食品微生物学研究室のみなさん 中規模の畑でも、作物を育てることは大変でした。ふだんスーパーでみかける農産物の価格は、お財布にやさしいことを理解しました。また、畑は本当に多くの生き物が関わり合い、そのおかげでみずみずしく新鮮でおいしいぶどうの実が生まれることを実感し、生き物に対する愛おしさが増しました。

GREEN編集部 ワインができあがった頃には、卒業ですね。この経験が、新しい世界へ進むみなさんへの良いギフトになることを願っています。いいお話をありがとうございます。