太く、真っすぐな生き方の先にあるチーズ
~チーズ工房タカラ~

白い滴のマリアージュ

今回のテーマ

太く、真っすぐな生き方の先にあるチーズ
~チーズ工房タカラ~

太く、真っすぐな生き方の先にあるチーズ<br />~チーズ工房タカラ~

「キムウンペッ(山・に入る・川)」が語源のとおり、支笏湖寄りの山々を源流に、尻別岳の裾を流れ、羊蹄山のふもとをぐるりと周り、日本海に注ぐ清流・尻別川が町の中心を流れる喜茂別(きもべつ)町。
その尻別川が牧場の中を流れ、尻別岳の向こうに、天気のよい日には羊蹄山も眺めることができるビューポイントにある牧場タカラは、年間通して放牧を行う牛の飼い方。牧場の飼養管理、土づくりと牛乳製造を担う斉藤信一さんとは、15年くらい前に道東の放牧勉強会で出会った。牛の飼い方、土との向き合い方、考えすぎるくらいに考える信一さん。色んな人と会い、教えを乞いながら、導き出した方向性は、青々とした牧草地と、その中で穏やかに草をはむ牛の姿が、「答え」として示してくれている。

チーズをつくる弟の愛三君は、太く、真っすぐだ。それは、大きな風貌のことではない。その人となり、考え方が、大地にしっかりと根をはり、太く、真っすぐに伸びる大木の幹のようであるということ。
タカラからチーズが届くとき、愛三君からいつも直筆の手紙が入っている。たわいもない日々のこと、牛の表情、牧草の様子、牧場に吹く風が季節で変わったとか、尻別岳の山肌が色づき始めたとか。自然に対する感動、畏敬、感謝。その考え方が、雪氷冷熱を使ったチーズ熟成庫にもあらわれている。自然に抗わない、自然の中で生かされている謙虚さ。その恵をひとつひとつ大切にいただいているという姿勢のあらわれ。
手紙の中から感じる愛三君の人となり。当たり前に過ぎがちな毎日にある、見過ごしてしまいそうな小さな喜び。
「タカラ」とは、アイヌ語で「夢をはぐくむ場所」という意味。チーズのコンテストなどで評価されても、決して量産せず、自分の波長を大事にし、牛を飼い、そこからいただく乳からつくるチーズを通じて、食べる人とともに、未来と「夢」をはぐくんでいる。太く、真っすぐに。