Q
就農したきっかけは?
その時に思っていたこと、苦労したことは?

親戚に説得され四代目に
人間関係に悩むことも
実家は農家でしたが、12歳で父を亡くしていたこともあり、就農せず進学する予定でした。札幌に家を借り、いざ引っ越そうという時に親戚から「先祖の土地を絶やさないで」と説得され、地元に残ったんです。当時の稲作は、田植えも収穫も手作業で、周りの人たちの助けを借りながら始めました。まだ若かったこともあり、人間関係に悩むこともありましたね。

畑の修復のため農家の道へ
地域の仲間が心の支えに
3兄弟の次男で、将来は航空関係の仕事に就こうと考えていました。進学直前に、台風で畑に大きな被害が出たため、急きょ農業大学校に進路を変えました。就農当初は、父から指示されたことをやるだけで精一杯。言われても分からないことが多く、地域の仲間によく相談していました。仲間の田んぼを見学しに出かけると、父からは遊んでいると思われたことも。口げんかばかりしていました。
Q
次世代に受け継いでもらいたいことや、
先代から受け継いでいきたいことは?

田畑の隅々まで気を配り
実直さを忘れずに
我々の時代は「畔に足跡が多い農家ほど、収量も多い」とよく言われました。息子に口うるさく言ってきたのは、機械化で作業が楽になっても手は抜かず、水田の四隅まで気を配ること。農機具はきちんと整理整頓し、ほ場や倉庫の美化を心がけること。そうした意識が、収量や品質に現れると感じています。田畑は大切な資産です。時代が変わっても、忘れずにいてほしいと思います。

父の思いを仲間にも広め
地域の農業を守りたい
就農して15年が経ち、父の真意が最近ようやく理解できるようになりました。青年部の役員を務めるなど、地域の後輩から相談される立場になった今では、父から口酸っぱく言われてきた「実直な心がけの大切さ」を、そっくりそのまま言って聞かせています。これからは、自分の畑づくりだけでなく、仲間づくりも大切にして、家族もこの土地も、しっかり守っていきたいです。