初夏の札幌大通を彩る花と緑のイベント「花フェスタ」の人気企画「ガーデニング甲子園」で、倶知安農業高校は北海道新聞社賞を受賞しました。根本さんは、この作品づくりをリードした園芸班班長です。受賞、おめでとうございます。
はじめまして。お祝いをありがとうございます。園芸班は、2、3年生からなる専攻班で、私たち園芸班が中心になって、生活園芸コースみんなで作品づくりを頑張りました。下の写真は3年生のメンバーです。この日欠席した人もいて、全員ではないのですが…。

作品のテーマとねらいを教えてください。
はい。テーマは「The flower of your life」で、「あなたの生活に花を」という意味です。花には、人を笑顔にする力があると思います。昨年からさまざまな制限がある日々が続いていますが、生活に花を添えることで、「明日も頑張ろう」という気持ちになってほしいとの思いを込めました。園芸班全体の今年のテーマでもあります。
作品の左側の山は、町のシンボルである羊蹄山をイメージしたものですか?

はい。倶知安といえば羊蹄山ですし、いつも校舎の向こうから私たちを見守ってくれているんですよ(笑)。「ガーデニング甲子園」に出品したこの山については、淺川先生から、花の彩りや配置などがよく工夫されているとほめていただきました。作品全体としては、倶知安農業高校のアンテナショップ「Aggie’s(アギーズ)」のカフェをモチーフに、緑と木のぬくもりでくつろげる空間を表現しました。

カフェスペースや寄せ植えの鉢も、園芸班のみなさんで作ったんですか。
はい。ちなみに、寄せ植えの鉢は、高校の敷地内で出た倒木を削ったり、臼のように掘ったりして作りました。

木工作業までできちゃうんですね。驚きました。園芸班ではこの他にどのような活動を行っているんですか。
エディブルフラワーの栽培と、エディブルフラワーを使った商品開発にもチャレンジしています。
エディブルフラワーとは、食用のお花のことですね。
そうです。ビオラ、キンギョソウ、コーンフラワー(ヤグルマギク)、ポリジなどを鉢に植え、試験的に栽培しました。収穫した花で最初にステンドグラスクッキーを作りました。溶かした色付きの飴の上に花をちらしたもので、試食したところ、花を食べている感覚はあまりなく、特有の匂いもなかったので、小さな子どもでも食べられるのではないかと思いました。

かたちもかわいいですね。
どら焼きと大福にも花を使ってみました。どちらもあんに花を入れ、大福は生地にも花を入れました。クラスで試食してもらうと、大福はかなり良い評価でした。でも、生地に花を入れても見た目ではわからないので、そこを改善したいと考えています。


花の活用として、他にも取り組んでいることはあるんですか。
ハーバリウムをはじめとしたグリーンインテリアも制作しています。
ハーバリウムは、ドライフラワーやプリザーブドフラワーをガラスボトルに入れ、専用のオイルを封入して作る雑貨ですね。
プリザーブドフラワーは市販のものを利用して、花の配置や配列、色合い、全体の構成に気を付けながら、繰り返し制作しています。100円ショップで売っている写真立てを利用して、アートフラワーフレームを試作したりもしています。

なんだか、とっても楽しそうですね。
園芸班の活動以外では、授業で、地域の花壇造成やプランターの寄せ植えの設置を行ったりもしています。

根本さんは、以前から花が好きで、倶知安農業高校に進学したんですか。
花は小さい頃から興味がありました。祖父母が丹精こめて、庭の花壇を作っているのを見てきましたから。また、父が倶知安農業高校の卒業生で、高校時代のエピソードを聞いていましたし、中学の時に参加した体験入学で先生や先輩にとても親切にしてもらったことに感激して、進学を決めました。
3年間学んでみて、どのような発見がありましたか。
小さい頃から花に興味があったものの、いざ栽培してみると、わからないことだらけで不安になりました。でも、実際に手入れや管理を経験することで、花の知識や性質についての理解を深めることができ、そこから農業の楽しさや魅力をみつけることもできました。将来は、北海道の職員になって、北海道で農業を営む方々や北海道農業に役に立てたらいいなと思っています。

農業をよく知らない多くの人にも、農業の魅力を伝えてくれたらうれしいです。今日はありがとうございました。