冨田ファーム:
牧場編(興部町)

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冨田ファーム:牧場編(興部町)

【 60 秒 】

北海道の農業の「今」を動画で伝える「北海道NOW」。今回は、オホーツク海に面した興部(おこっぺ)町の冨田ファームから2回にわたってお届けします。今回は、おいしい牛乳をつくるために取り組む、化学肥料を使わない牧草栽培について紹介します。

  • おいしい牛乳は牧草づくりから
    冨田ファームは、牛たちが自由に移動でき、好きな時に餌を食べられる牛舎(フリーストール)で180頭の乳牛を飼育し、牛乳やチーズ、ミルクジャムなどの製造・販売も手掛けています。4代目の冨田泰雄さんは、25年以上前から環境に負荷をかけない酪農と、おいしい牛乳づくりを目指して、化学肥料を一切使わずに牧草を栽培し、独自の飼料(サイレージ)を作ることに取り組んできました。冨田さんは、マメ科牧草が持つ根粒菌が窒素固定をすることに着目。マメ科牧草を増やすことで、化学肥料を使わなくても牛の糞尿から作る液状のたい肥のみで、収量を下げることなく良い牧草が出来る環境を作りました。
  • 牧草は一年分を3回で収穫
    冨田ファームでは、牧場周辺にある約70ヘクタールの畑で、一年分の牧草を栽培しています。収穫は年に3回。6月中旬に一番草、7月下旬に二番草、そして9月上旬に三番草を収穫しています。一番草から三番草まで、それぞれ栄養分や味わいが異なるのだそう。「一番草は新芽が多く、栄養分や繊維質が豊富です。花も混ざるのでやわらかくて甘い二番、三番の草は、牛たちの好物なんですよ」と冨田さん。「牛たちが甘い牧草を食べているから、うちの牛乳からは自然な甘さが感じられるんです」と胸を張ります。
  • 広大な草地で豪快に刈り取り作業
    取材で冨田ファームにお邪魔したのは、7月下旬。ちょうど二番草の刈り取り作業が始まった頃でした。刈り取り機を付けたトラクターが牧草地を一直線に走り、一気に牧草を刈って行きます。牧草は半日ほどその場に置き、水分が飛んだ頃合いを見計らって、専用のハーベスターで吸い上げながら細かく刻み、後部のコンテナに吹き飛ばします。そして、運搬用トラックに積み替えてサイロへ。この作業は、2週間ほどの間、雨の日を除いて朝から日暮れまで続きます。
  • 3種類のサイレージで牛乳の品質を安定
    牧草は、牛舎の近くに設置されたバンカーサイロと呼ばれるコの字型のサイロに下ろします。次にショベルカーで牧草を集めて踏みつけ、できるだけ空気を抜きます。バンカーサイロがいっぱいになったら、上からブルーシートを被せて密閉。シートの下では牧草の乳酸発酵がゆっくりと始まり、2~3カ月でサイレージができあがります。冨田ファームでは、一番草から三番草までのサイレージをそれぞれ分けて保管し、牛に与える直前に配合。割合を細かく調整しながら、一年を通して牛乳の脂肪分やたんぱく質、ミネラル分などが一定の割合になるよう工夫しています。こうして成分を一定に保たせたミルクから、その持ち味を生かした牛乳やチーズ、ミルクジャムが生まれます。次回はチーズ作りの模様をお届けします。