みんなで減らそう!おうちの食品ロス。
Q&A 日本の食品ロス量はどのくらい?
Q:GREEN編集室 A:消費者庁 田中 誠さん
【Q】日本の食品ロス量は、
どれぐらいありますか?
【A】年間約570万トン。
約半分は、一般家庭から出ています。
2019年度に日本で排出された食品ロス量は、約570万トン。一体どれほどの量かというと、WFP(国連世界食糧計画の略称で、紛争や天災などの被災国に対して緊急援助を施す食糧支援機関)の2020年の食料支援の量(約420万トン)の1.4倍。国民 1人当たりに換算すると、年間約45キロもの食料が、食べられるにもかかわらず捨てられています。
その出どころは、大きく分けて2つあります。1つは、食品メーカー、コンビニエンスストアやスーパーマーケットなどの小売店、飲食店といった事業系から。もう1つは、私たちの家庭で廃棄されている家庭系です。
図1のグラフを見てみると、事業系から出る廃棄量とほぼ同じ量が家庭から出ていることが分かります。このことからも食品ロスの削減は、ある一部の業界や企業だけの問題ではなく、家庭での取り組みが不可欠であることが明らかです。
余った食べ物は、事業系や家庭などから生ごみとして処分されます。生ごみを焼却すれば、当然、二酸化炭素が発生します。加えて、重量の多くを水分が占める生ごみは非常に燃えにくいため、膨大なエネルギーと費用がかかります。食品ロスを含む一般ごみの処理費用は、2019年度で約2兆円。これらは、税金でまかなわれています。
結果的に、食べ物をごみにしないことで、家計のほか、税金、地球温暖化など、私たちの生活のさまざまな問題を減らすことにもつながります。
【Q】家庭における
食品ロスの特徴は?
【A】食べ残しが最も多く、
未開封での廃棄や過剰除去も。
家庭から出る食品ロスは、大きく分けて3つあります(図2)。最も多いのが、食べ残しです。作り過ぎなど、食卓に出したものの食べられることがなく捨てられたもので、全体の約45%を占めています。次いで約40%が、冷蔵庫に入れたまま期限表示が切れた食品など、未開封の状態で捨てられる直接廃棄です。残りの約15%が過剰除去と呼ばれるもので、厚くむき過ぎた野菜や果物の皮、肉の脂身などが含まれます。
これらはいずれも、私たちの行動や考え方を変えることで、量を減らせる可能性があります。中でも直接廃棄は、消費期限と賞味期限の正しい理解が広がることで、大幅に削減できると期待されています。
消費期限は、主に劣化が早い食品に示される「過ぎたら食べないほうがよい期限」です。一方で賞味期限とは、日持ちする加工食品に表示される「おいしく食べることができる目安」です。賞味期限は、過ぎたら食べられなくなるという意味ではなく、まだ食べられる場合がほとんどです。
効果的なのが、冷蔵庫や食品保存庫の管理です。これらの中を片付け、整理を定期的に行うことで、食材の見える化ができ、二重買いなどを防ぐことにもつながります。
総務省の家計調査によると、一般的に、家計の約4分の1が食費で占められているそうです。1円でも安い商品を買う努力より、家庭での食品ロスを減らすほうが、実は節約の近道になるのかもしれません。