みんなで減らそう!おうちの食品ロス。
Q&A 未来に向けて、私たちができること
Q:GREEN編集室 A:消費者庁 田中 誠さん
【Q】未来に向けて、
具体的な目標はありますか?
【A】2030年度に489万トンまで減らすため、各省庁が一丸となり取り組んでいます。
2015年に国連で採択された持続可能な開発目標(SDGs)の1つに、「2030年までに小売・消費レベルにおける世界全体の1人当たりの食料の廃棄を半減させ、収穫後損失などの生産・サプライチェーンにおける食料の損失を減少させる」(ターゲット12.3)が盛り込まれています。
こうした流れを受け、日本でも「2030年度に家庭系216万トン、事業系273万トン、合計489万トンまで削減する」という目標を掲げました。目標を達成するため、国民運動として食品ロス削減に取り組もうという目的から、2019年には「食品ロスの削減の推進に関する法律」が施行され、各省庁が連携して削減に取り組んでいます。
事業系では現在、直接廃棄の削減に重点を置き、農林水産省の主導のもとで、小売業で一般的に行われてきた商慣習の見直しを進めています。さらに皆さんの身近なところでは、「てまえどりキャンペーン」も行われています(図3)。コンビニエンスストアのサンドイッチやおにぎりなど、すぐ食べるものは販売期限が比較的近い手前のものを積極的に選ぶことで、直接廃棄を減らしていこうという取り組みです。一方、環境省で進めているのが、外食での食べ残しを自己責任で持ち帰る行為「mottECO(もってこ)」の普及です(図4)。持ち帰って家庭で消費すれば、食品ロス削減につながります。
消費者庁では、食品ロス削減の特設サイトやツイッターなどを開設して、消費者の皆さんに役立つ情報を発信しています(図5)。
【Q】食品ロスを削減するために、私たちができることとは?
【A】買い物や食事のたびに、自分ごととして取り組む意識を持つことです。
家庭において注意すべき点は、大きく4つあります。買い物をする時と保存する時、調理時と外食時です(表1)。
食品を購入する際には、買い物前に冷蔵庫の中やストック食材を確認することで、無駄を防ぐことができます。足りない物に気づいたらメモを取ったり、冷蔵庫の中をスマートフォンで撮影しておくと、いつでも確認できます。
常温で保存できる食品は、使いながら買い足すローリングストック法を取り入れましょう。「備える」「食べる」「買い足す」を繰り返すことで、災害の備えにも、食品ロスを減らすことにもつながります。
自分の体重を記録することがダイエットにつながるように、家庭での食品ロスを見える化するチェックシート(表2)や、スマートフォンで入手できる消費・賞味期限管理アプリを活用してもいいでしょう。
食品類を整理していくと、自分では消費し切れない食べ物が見つかるかもしれません。皆さんは、各家庭で使い切れない未使用食品を持ち寄り、フードバンク団体や福祉施設などに寄付する「フードドライブ」という取り組みをご存じでしょうか。フードバンク団体は、北海道から沖縄まで多くあります。こうした団体に提供するのも1つの方法です。
消費者の皆さんに食品ロスの削減に取り組んでいただくことは、自分自身のメリットにもなり、社会全体への貢献にもつながります。まずは「食品ロス」という言葉を意識して、日々の生活を少し変えていただけたらうれしいです。