「にくのくに北海道」の和牛。
「『サロマ和牛』は、感謝と愛情でできています」
- トップファームグループ
代表取締役社長 井上 茂幸さん
佐呂間町生まれ。大学卒業後、会社員を経て2009年に就農。21年より現職。代表取締役副社長 井上 和明さん
佐呂間町生まれ。大学卒業後、会社員を経て、2013年にトップファームグループに入社。21年より現職。
MENU
「にくのくに北海道」の和牛。
北海道の東部、オホーツク海に面する佐呂間町。その地域名を冠した『サロマ和牛』は、トップファームグループで育った和牛だけが名乗れるブランドです。
「北海道生まれで生後2カ月以内の初生牛から出荷まで、ここ佐呂間町で育った和牛であることが定義です」
そう説明するのは、生産者の井上茂幸さん。和牛のほか、交雑種、乳用種約1万3500頭を飼養する大規模ファームの経営者でもあります。
「企業経営の基礎は、創業者である会長(父)が築きました。牛さんが快適に暮らせる環境と、働きやすい環境を求めたら、ここまでの規模になりました」と茂幸さん。
「スタッフに農業へのやりがいや楽しさを見つけてもらう観点で、素牛の生産、肥育生産、繁殖や酪農など、あらゆる事業に挑戦できる環境を整備した結果です」と弟で総務・経理担当の和明さんは付け加えます。
繁殖から出荷までを一貫して行う同社では、飼養しているすべての牛を、国が義務付ける10桁の個体識別番号とは別に、独自の番号で一頭一頭管理しています。血統や餌の内容、体重の記録、ワクチンの接種や治療歴まで「牛生体管理システム」に登録。健康な牛づくりに特化したトレーサビリティを実現しています。
(上)急速発酵乾燥資源化装置(ERS)。装置3台で75トンの家畜糞尿を、わずか一日で堆肥化し、温室効果ガスの排出を抑制。3台も導入しているのは、全国でもここだけ
(下)世界でも、日本の和牛の評価を高めたいとお二人
同社では、牛の餌となる牧草やデントコーンを自社で生産するほか、パイナップルやサトウキビを加工して乳酸発酵させたオリジナルの飼料を開発。発酵飼料に重きを置いた飼料設計を行っているのも大きな特徴です。
「酪農家出身の会長が、乳牛の健康づくりに欠かせない発酵飼料は、肉牛にとってもいいだろうという考えから取り組んできました」と和明さん。
「臭みのないおいしいお肉は、健康な牛さんの体の中から生まれるものだと私たちは考えています。発酵飼料は、人間でいう〝ヨーグルト〟と同じです。ただし、やり方次第ではサシが入りにくくなるリスクがあります。牛さんの成長に応じて、配合を細かく調整しています」と茂幸さんは説明します。
加えて、生産者として安全・安心な牛肉を消費者に届けたいという思いを体現しているのが、肉用種で国内第1号の「農場HACCP」(国が定める畜産農場の衛生管理基準)と「JGAP(家畜・畜産物)」(食の安全や環境保全、動物福祉に取り組む農場に与えられる認証制度)の取得です。
「HACCPとJGAPの取得によって、結果的に輸出要件をクリアすることもできたため、アジアやEU、アメリカなど海外への出荷も実現できました」と和明さん。「海外生まれの和牛が各国で浸透している中、日本の和牛の肥育技術を世界に正しくアピールしていくことは、意味があると感じています」と茂幸さんは力を込めます。
和明さんは、『サロマ和牛』の名に込めた思いについて、次のように話します。
「『サロマ和牛』が有名になることで、佐呂間町の名も広く知れ渡れば私たちもうれしいです。地元の人たちが誇りを感じたり、地元に魅力を感じてくれる子どもたちが増えることが、最大の地域貢献になると思っています」
「北海道の和牛といえば『サロマ和牛』、と言われるぐらい認知度を高めたいです。生産者としては月並みな言い方ですけれど、牛さんへの感謝の気持ちを忘れずに、愛情を持って育てると、牛さんは応えてくれると思うんです。うちの牧場に生まれたからには、一頭一頭を幸せにしようという思いは常にあります」と茂幸さんは笑顔で話しました。
「牛さんの顔つきや座り方で健康状態が分かります」と茂幸さん。下痢をすると目がくぼむなど、病気の予兆とされる症状が現れるそう
代表取締役社長 井上 茂幸さん
佐呂間町生まれ。大学卒業後、会社員を経て2009年に就農。21年より現職。
代表取締役副社長 井上 和明さん
佐呂間町生まれ。大学卒業後、会社員を経て、2013年にトップファームグループに入社。21年より現職。