Vol.43
北海道中標津
農業高等学校

わたし × 農業

私が農業に恋した理由
北海道の高校、専門学校、短大、
大学では、たくさんの学生さんが
農業を学んでいます。
農業のどんなところが魅力?
学んでみて知った醍醐味は?
好きだけど大変と感じることは?
青春ど真ん中の日々での実感、
将来の夢などを聞いていきます。

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北海道中標津農業高等学校 農産加工研究班「パンチーム」のみなさん

1950年からの歴史を持つ、根室管内唯一の農業単置校。生産技術科と食品ビジネス科からなり、「地域を教材にして地域を学ぶ」ことをテーマに、地元の多様な資源を活用した新製品の開発や栽培作物の研究、関係機関・大学・企業と連携したプロジェクト活動を推進しています。また、環境保全型の農業の研究、高度先端技術を生かした教育内容の充実に努めており、2019年度に全国の高校初となる生乳のJGAP認証を取得しました。

北海道中標津農業高等学校
088-2682 中標津町計根別南2条西1丁目1番地1
https://www.nakashibetsu.jp/nagri/
TEL:0153-78-2053

  • 本田さん

    本田さん

  • 上田さん

    上田さん

  • 長谷川さん

    長谷川さん

  • GREEN編集室

    GREEN編集室

GREEN編集部 皆さんが所属する農産加工研究班「パンチーム」は、中標津町の特産品を使ったパンを作り、数々のコンテストで上位入賞されています。まず、2022年度パン甲子園で準グランプリを受賞した、「もちりっとパン」のお話から聞かせてください。

長谷川さん 「もちりっとパン」は、中標津町産の炊飯したもち麦を使っていて、もちっとした生地が特徴です。私たちの先輩が小麦の製粉体験をさせてもらいに地元の企業に伺った際、「町でもち麦も栽培できるけれど、需要が少ない。なにか製品を考えてほしいな」と声を掛けられたことが、もち麦粉を使うきっかけになったと聞いています。

上田さん 「もちりっとパン」に具材をはさんだのが、2024年2月に地元のスーパーで販売した「もちりっとサンド」です。僕たちはパンづくりを担当し、具材を考えてくださった酪農学園大学の皆さんとも一緒に作業しました。認知度アップを目指す中標津産大根を使った5種類の中から、試食会を経て商品化が決まった「ツナ大根(写真上)」と「大根カツ(写真下)」は、生地と具材の相性が抜群でした。大根が際立つ出来栄えで、販売会では5分ほどで完売したんですよ。

本田さん 販売にあたっては、「もちりっとサンド」の価格を決めなければなりません。石井先生から損益分岐点を割り出す方法を教わり、250円という価格を決めたのですが、これはとてもいい勉強になりました。石井先生は、私たちのやりたいことをなんでもサポートしてくれる心強い味方です。

GREEN編集部 活動がとても実践的で、驚きました。そもそも、皆さんはどのような学びを期待して、中標津農業高校に進学したのですか。

長谷川さん 私は隣町の標津町から通っています。町外で農業のことを学んだり、実習したりしたくて決めました。

本田さん 製品の製造や販売会に参加してみたいと思ったことと、取得できる資格の種類が豊富だったからです。

上田さん 僕も、さまざまな食品を使って加工品を作りたくて、中標津農業高校に進学しました。

GREEN編集部 食品や農業にさまざまな思いを持った生徒さんが集まっている「パンチーム」は、2023年には「行者パン」の開発で2023年高校生チャレンジグルメコンテストの「わがまち発信賞」を受賞しました。これは、どのようなパンなんですか。

本田さん 町の特産物である大根と行者にんにく、ミルキーポークのひき肉で作った具材を詰めた揚げパンです。見た目はカレーパンに近いです。中標津町産の行者にんにくと小麦のおいしさをたくさんの人に知ってもらうことがコンセプトです。

長谷川さん 「行者パン」づくりでは、私はパン生地を作る担当でした。この作業が楽しそうだから「パンチーム」に入ったのですが、おいしいパンのもとになるグルテン膜ができるまで小麦粉をこねるのは大変でした。

上田さん 僕は、パン粉にするための食パンを作る担当でした。「行者パン」に使うパン粉は僕たちが自作したもので、冷凍させた食パンを削ってフライパンで煎るという工程を踏んでいます。ものすごくこだわっているんです。

長谷川さん 市販品を使わず、手作りしている点は自慢です。

本田さん 私は、苦労した二人からバトンを受け、パンを揚げるところを担当しました。すぐにパンが焦げてしまったり、火の通りがうまくいかなかったり。試作を繰り返して、弱火で片面5分ずつがちょうどいいことを発見しました。

GREEN編集部 皆さんのお話を聞いているうちに、「行者パン」を食べたくなってきました。

本田さん 外はサクサク、中はモチモチ、具材の大きめに切った大根がシャキシャキしていて、食べたそばから食感を楽しめます。また、揚げることによって具材のうまみが閉じ込められて、ほんとうにおいしいんです!

GREEN編集部 「パンチーム」でのパンづくりの経験、コンテストの受賞は、皆さんにどんなプレゼントをくれましたか。

上田さん パンを作る楽しさと技術です。

長谷川さん 私は、勇気です。

本田さん 自分たちで栽培した小麦を使って、小麦粉が主役になるようなパンを作りたいという目標です。

GREEN編集部 今回の経験によって、食べ物や農業、中標津町に対する考え方や見方は変わりましたか?

長谷川さん 中標津の特産品をもっと有名にしたいと思うようになりました。もし機会があったら、特産品を使ったピザトーストを作ってみたいです。

上田さん 北海道の食材だけでパンが作れるなんてすごいことだと、改めて気づかされました。

本田さん 中標津町に限らず、北海道でたくさんのおいしいものを作ってくれている生産者の皆さんには感謝しかないです。

長谷川さん 生産者の皆さんには、くれぐれも健康には気を付けてほしいです。

GREEN編集部 たくさんの思いがこめられた中標津農業高校「パンチーム」のパン、新作を楽しみにしています。ありがとうございました。