Vol.20
北海道美幌高等学校
環境改善班のみなさん

わたし × 農業

私が農業に恋した理由
北海道の高校、専門学校、短大、
大学では、たくさんの学生さんが
農業を学んでいます。
農業のどんなところが魅力?
学んでみて知った醍醐味は?
好きだけど大変と感じることは?
青春ど真ん中の日々での実感、
将来の夢などを聞いていきます。

北海道美幌高等学校

北海道美幌高等学校 環境改善班のみなさん

農業を基幹産業とする美幌町で80年以上の歴史を持つ高校。普通科と、農業関連産業人を育成する生産環境科学科、同科の生徒が栽培した作物や、管理している家畜の肉などを使い、授業で加工食品を製造する地域資源応用科を設置。この2科では、実習圃場、動物舎実習棟、食品加工実習室などを備えた校内の農場を活用し、実践的な学びを行っています。

北海道美幌高等学校
092-0017 美幌町字報徳94番地
http://www.bihoro-high.hokkaido-c.ed.jp/
TEL:0152-73-4136

  • 環境改善班のみなさん

    環境改善班のみなさん

  • GREEN編集室

    GREEN編集室

GREEN編集部 こんにちは。美幌町はオホーツクエリアにあり、農業が盛んですね。みなさんが所属する環境改善班の活動が、昨年秋に発表された「第7回ディスカバー農山漁村(むら)の宝(農林水産省主催)」で準グランプリに選ばれました。おめでとうございます。

環境改善班のみなさん ありがとうございます。環境改善班は、農業クラブのプロジェクト専攻班の一つで、2、3年生6名で活動しています。

GREEN編集部 どのような活動が準グランプリを受賞したのか、教えてもらえますか。

環境改善班のみなさん 「ウチダザリガニ」という特定外来種生物をご存じでしょうか。アメリカから食用として摩周湖に導入され、道内に広がったウチダザリガニは、在来種の二ホンザリガニを食べてしまうなど危険な一面を持っています。2008年、美幌博物館が町内に流れる鶯沢川で魚介類調査を行ったところ、この川にもウチダザリガニが生息し、在来種が減少していることが確認されたため、駆除活動が始まりました。この活動に、環境改善班(当時は野菜班)も2014年から参加しています。

GREEN編集部 これまでに、どれくらいの量を駆除したのですか。

環境改善班のみなさん 2014年から毎年10回程度の駆除を行い、7年間で1万匹以上を駆除しました。その結果、大型のウチダザリガニが減り、ニホンザリガニの生息域が改善されつつあります。

GREEN編集部 ものすごい量! そうした実績が表彰されたのですね。

環境改善班のみなさん はい。それともうひとつ、駆除活動を通じて、網走川流域の自然環境の改善や地域住民との交流などが進んだこと、流域環境の保全活動を広く発信したことも評価ポイントだったと聞いています。

GREEN編集部 捕獲したウチダザリガニは廃棄に?

環境改善班のみなさん いいえ、命を有効活用するため、動物園の動物の餌にすることを検討したり、有機肥料として農作物の栽培に利用する方法を研究しています。この研究は、美幌博物館、北海道日赤看護大学、美幌町フラワーマスター連絡協議会のみなさんと共に進めています。

GREEN編集部 肥料にできるのではないかという根拠は?

環境改善班のみなさん ウチダザリガニなどの甲殻類に含まれるキトサン成分は、発酵を促進する働きがあるため、肥料に活用できるのではないかと考えました。肥料は、ウチダザリガニと、校内農場で作ったもみ殻くん炭(もみ殻を低温でいぶし、炭化させたもの)、おから、米ぬかをかき混ぜました。

GREEN編集部 どれくらいの時間で肥料ができあがるんですか。

環境改善班のみなさん 肥料は3週間の期間中、定期的に完熟するまで切り返しを行います。この作業のために、放課後に時間をさくのに苦労しました。

GREEN編集部 実際に、その肥料を使って栽培を行ったんですか。

環境改善班のみなさん ウチダザリガニを入れた肥料、入れない肥料、化学肥料の3試験区で、にんじん、ハクサイ、大根などを栽培しました。ウチダザリガニを含む肥料の試験区では、成長が早く、収穫量も多かったです。とくに根菜類はよく育ち、可食部も大きかったです。この肥料にさらに窒素系成分を追加すれば、葉物などにも良い肥料になるかもしれません。

GREEN編集部 肥料づくりから野菜栽培までを行ってみて、農業に対する発見などはありましたか。

環境改善班のみなさん 農業は、人間だけでなく周囲の生物たちにも支えられていることがわかりました。また、生物は別の形になっても土として生きていけることを知り、命はこのように循環するんだなぁと感じました。

GREEN編集部 ウチダザリガニが、いろいろなことを教えてくれたようですね。

環境改善班のみなさん 害を与えている生物も、肥料として役に立っています。こうした活用が可能な生物が他にもあると思います。

GREEN編集部 今後は、「資源循環農法の確立」が目標と聞きました。

環境改善班のみなさん 動物の糞や尿を使えば、お金をあまり使わずに、環境にも気遣えます。この記事を読んでくださる方々にも、環境に優しい農業について関心を持っていただけるとうれしいです。

GREEN編集部 環境改善班の顧問である野口先生は、とても熱心だそうですね。

環境改善班のみなさん とても熱い先生で、情熱を持ってプロジェクトを推進されています。場をなごませるのも上手なので、和気あいあいと活動ができています。

GREEN編集部 では、最後にメッセージをお願いできますか。

環境改善班のみなさん 外来種の環境問題はとても深刻です。ボランティアなどの活動に参加してもらえると、うれしいです。