北海道中標津農業高等学校
肉加工研究班のみなさん

わたし × 農業

私が農業に恋した理由
北海道の高校、専門学校、短大、
大学では、たくさんの学生さんが
農業を学んでいます。
農業のどんなところが魅力?
学んでみて知った醍醐味は?
好きだけど大変と感じることは?
青春ど真ん中の日々での実感、
将来の夢などを聞いていきます。

北海道中標津農業高等学校

北海道中標津農業高等学校 肉加工研究班のみなさん

生産技術科と食品ビジネス科からなる、根室管内唯一の農業単置校。「地域を教材にして地域を学ぶ」ことをテーマに、地元の多様な資源を活用した新製品の開発や栽培作物の研究、関係機関・大学・企業と連携したプロジェクト活動を推進し、環境保全型の農業の研究を進めています。2019年度、全国の農業高校で初となる生乳のJGAP認証を取得しました。

北海道中標津農業高等学校
088-2682 中標津町計根別南2条西1丁目1番地1
http://www.nakashibetsu.jp/nagri/
TEL:0153-78-2053

  • 肉加工研究班

    肉加工研究班

  • GREEN編集室

    GREEN編集室

GREEN編集部 中標津農業高校の肉加工研究班、3年生のみなさん、こんにちは。最初に中標津農業高校の紹介をお願いできますか。

肉加工研究班 中標津農業高校は、人口より牛の飼育頭数のほうが多い中標津町にあり、座学と実習、専門研究班の活動などを通して、農業や食品に関する知識や技術をたくさん学べる高校です。班員の中には、将来、食品の製造や加工に携わる仕事に就きたくて中標津農業高校に進学した人もいます。

GREEN編集部 肉加工研究班は、どのような活動を行っているんですか。

肉加工研究班 佐藤正三先生を顧問に、主にエゾシカの“まるごと”有効活用を目的に、製品開発や環境保全に関する活動を行っています。その活動を発表したところ、「2020年度SDGs Quest みらい甲子園北海道エリア大会」で北邦学園賞を受賞することができました。

GREEN編集部 それはおめでとうございます! では、その“まるごと”有効活用の活動について聞かせてください。その前に、なぜ、エゾシカに注目したんですか。

肉加工研究班 エゾシカは全道に67万頭が生息していて、牧草や飼料用トウモロコシの食害など、農林業被害の8割がエゾシカによるものです。中標津町でも、登下校中にバスの車窓から牧草地にいる姿を見かけるくらいエゾシカがいて、エゾシカによる被害も大きな問題になっています。

GREEN編集部 エゾシカが増え過ぎているのでしょうか。

肉加工研究班 道内では、地域のハンターさんの協力などによって年間11万頭近く捕獲・狩猟されますが、生息数は微減にとどまっています。

GREEN編集部 捕獲・狩猟されたエゾシカは、その後どうなるのでしょう。

肉加工研究班 全道的にみると、食肉に活用されているのは20%程度です。その他にも、中標津町ではペットフードとして活用される例も多くあります。

GREEN編集部 予想以上に少ないですね。

肉加工研究班 そうなんです。狩猟されたエゾシカには、まだまだ活用されずに廃棄されているものもあるため、ハンター、企業、農家、町のみなさんにもご協力をいただきながら、新たな活用法を見出すことで、少しでも廃棄されるエゾシカを減らしたいと思っています。

GREEN編集部 “まるごと”活用は、昨年からスタートしたそうですね。

肉加工研究班 はい。昨年度は「環境保全と特性理解」「エゾシカ肉の活用」「エゾシカの皮や脂など副産物の活用」を3本柱に取り組みました。

GREEN編集部 「環境保全と特性理解」では、具体的にどのようなことを行ったんですか。

肉加工研究班 中標津農業高校生の実家で酪農・畑作を営んでいる方々に、被害状況のアンケートを行いました。みなさん、被害を防ぐために大変苦労されていることがわかりました。また、地元の専門家の協力を得て、エゾシカの解体を体験しました。エゾシカの特性を理解することが目的です。まだ温かいエゾシカが解体されていくうちに、「生き物」から「肉」に変わっていく過程を目の当たりにして、エゾシカだけでなく家畜の「命」をいただくことに対して、深く考えさせられました。

GREEN編集部 その経験をしたことによって、エゾシカ肉をむだなく、よりおいしく食べなければという思いが募りそうですね。

肉加工研究班 はい。血抜きをしっかりと行ったエゾシカ肉は、淡白な味わいですが、肉の味がしっかり感じられ、脂身が少ないため、健康にも良い食材だと思います。シンプルに焼いて食べるのも良いですが、煮込んでもおいしく、おすすめです。レシピ開発をする中で、事前に牛乳やヨーグルトに漬けこむと肉質が柔らかくなり、臭みが残っている場合はショウガやニンニク、トマトと一緒に調理すると食べやすくなることがわかりました。

GREEN編集部 エゾシカ肉の加工品づくりにも取り組んでいると聞きました。

肉加工研究班 ソーセージの開発に取り組んだチームは、エゾシカ肉特有のにおいに苦戦していました。また、脂肪が少ないので肉の結着性が弱く、食感の改善方法にも試行錯誤していました。エゾシカ肉を使った加工品は、ソーセージ、ジャーキーが多いので、それら以外の中標津町らしい何かを作ろうと、頑張っているところです。

GREEN編集部 皮や脂はどのような活用ができそうですか。

肉加工研究班 皮を活用したレザークラフト、脂を活用したアロマキャンドルを皮切りに、まだまだアイデアが出てきそうです。今年度はさらにそれぞれの分野の研究を深め、将来的には中標津町を「エゾシカ資源を活用した持続可能なまちづくりのモデルケース」にしたいという大きな目標に向かって活動しています。

GREEN編集部 この活動を通して、町や農業、環境などに対する考え方や見方は変わりましたか。

肉加工研究班 地域でとれる農産物のことなど、今まであまり知らなかった中標津町の魅力を発見することができました。また、「SDGs Quest みらい甲子園」に出場したことで、他の参加校と親交を深めることができたのも良かったです。

GREEN編集部 今回の受賞は、活動の張り合いや励みになりますね。

肉加工研究班 班がひとつになって賞をとれたこと、自分たちの活動が外部の方に評価してもらえたことは、とてもうれしかったです。

GREEN編集部 みなさんで助け合いながら、研究をさらに深めていってください。今日はどうもありがとうございました。