北海道
地チーズ博
2023

はるばる来たぜ、食卓へはるばる来たぜ、食卓へ

北海道地チーズ博 2023

地(じ)チーズとは、伝統と創意工夫、風土を生かした製法で、多様に進化してきた北海道産のナチュラルチーズのこと。「北海道地チーズ博(以下、地チーズ博)」は、世界的にも評価を受け、進化する地チーズの都内最大級のイベントです。5回目となる今年は、全46工房・メーカーらの約300種が2月10日(金)~13日(月)、東京・渋谷ヒカリエに集合。初日は朝からの雪にもかかわらず、地チーズファンらが開場前から行列を作りました。多くの注目と関心を集めた4日間。その様子をダイジェストで紹介します。

地チーズをもっと生活の中に

オープニングセレモニーでは、主催者代表として西川寛稔ホクレン代表理事副会長が「このイベントをきっかけに、地チーズを生活の中にもっと取り込み、ファンになっていただくことを期待しています」と挨拶。続いて、来賓の勝俣孝明農林水産副大臣が地チーズの品質及びブランド力の向上にふれながら、「多種多様なおいしさを広く発信してください」とエールを送りました。(独)農畜産業振興機構の庄司卓也副理事長のご挨拶、鈴木直道北海道知事のメッセージ披露に続き、TEAM NACSリーダーの森崎博之さんが登壇。「地チーズの評判は全国にとどろいています。北海道を背負って立つ気概で、地チーズ博を成功させましょう」と呼びかけました。
※写真は右から、森崎さん、西川副会長、庄司副理事長、勝俣副大臣

東京、全国の方々に食べてほしい

イベントを担当したホクレン酪農部の竹尾淳職員は、「地チーズ博を通して、東京そして全国の方々に地チーズをまずは食べていただきたい」と開口一番。「今回登場する約300種は、各工房・メーカーの代表作、新作など選りすぐり揃い。いずれも、生乳のおいしさ、地域の気候風土の特徴を生かし創意工夫した製法からなる、独自のおいしさを味わえます。さまざまな地チーズの個性を知り、お気に入りをみつけ、料理にも使ってみてください。地チーズがより身近な存在になることを願っています」。会場内には全21の直売ブースがあり、「作り手の皆さんが首都圏のお客様と直接お話する機会は、限られています。ここでの出会いがファンづくり、新たなチーズづくりにつながれば、主催者冥利に尽きます」と期待を込めました。

ブースではイチオシをアピール

会場内の直売ブースでお客様を迎える皆さんにお話を聞きました。日本初のチーズ専門工場ができた町から参加した、はやきたチーズ工房夢民舎の本間千博さん(写真右)は、「私たちはチーズづくりの灯を守ることを使命に、多くの方に親しまれる、飽きのこない味にこだわっています。今回は、その中でも個性派といえる桜のチップで燻した『スモークカマンベールはやきた』を推します」。海外での評価も高いニセコチーズ工房の近藤孝志さん(写真左)は、「ワクワクするチーズを出していきたいと、息子と共に常に新しいチーズを開発しています。ご来場になる舌の肥えた皆さんから、国内外で数々の賞をいただいた当社の『ブルーチーズ二世古 空【ku】』の感想を聞くのが楽しみです」。

贅沢な食べ比べ「セレクト5」

多種多様な地チーズに目移りしてしまうというチーズファンに好評なのが、「セレクト5」(参加費500円)。46工房・メーカーイチオシの46種のチーズの中から気になる5種を選び、会場内で味わうもので、地チーズ博のシンボル企画です。森崎さんもさっそく試食し、「ワンコインで個性の異なる地チーズを食べ比べできるなんて、贅沢ですよね。思いのほか、一切れが大きいのもうれしいなぁ」と地チーズのおいしさにおもわず笑顔に。今年初登場の「セット5」(参加費500円)は、その日のお楽しみ5種を盛り付けたもので、チーズに詳しくない方、知らないチーズに出会いたい方に大好評。ご来場の皆さんは、道産赤ワインなどとのペアリングを思い思いに楽しんでいました。

世界3位のプロのカッティングライブ

期間中、ステージでは、MCがリポーターになり直売ブースを訪問するトークショーや、北海道の工房とのオンライン中継などが行われました。連日、注目を集めたのは、チーズ版ソムリエともいえるフロマジェの資格を持ち、世界大会で3位を獲得した長原ちさとさん(芽室町、TOYO Cheese Factory)によるチーズカッティングのライブパフォーマンス。地チーズ博に出品されている複数の地チーズを使って、それぞれのチーズの特徴に合わせたカット方法を実演しながら解説し、華やかに盛り付けていきます。チーズの保存法もタイプ別に紹介するなど、すぐに役立つ情報いっぱいの30分でした。

総選挙グランプリは
「和乾酪 燻り昆布だし」

来場者がお気に入りの地チーズに投票し、グランプリと各賞を決定する人気企画「北海道地チーズ博総選挙」。今年は、「和乾酪(わかんらく) 燻り昆布だし」(旭川あらかわ牧場)がグランプリとフレッシュ/ソフト部門1位を受賞しました。荒川求さん(写真左)は、「消費者の皆さんからダイレクトな反応がいただける地チーズ博での受賞はとてもうれしく、また、自信を深めることができました」と喜びを語っていました。また、ハード系部門は「幸12ヶ月」(しあわせチーズ工房)、白カビ/青カビ部門は「ブルー・ド・フロマージュ」(十勝野フロマージュ)、パスタフィラータ部門は「ストリングしおかぜ」(ASUKAのチーズ工房)が1位に選ばれました。

自由が丘、オンラインショップでも

自由が丘にある、北海道の酪農の魅力を発信するアンテナショップ「MILKLAND HOKKAIDO → TOKYO」では、2月2日(木)~28日(火)まで「北海道プチーズ博2023」を開催。地チーズ博2023出店工房のおすすめ地チーズを使ったオリジナルメニューを提供し、モーニング・ランチ・ディナーなど5つのシーンにぴったりのチーズ2~3種類を組み合わせた限定アソートセットを販売。渋谷ヒカリエ会場と連携したスタンプラリーも、楽しみを広げました。また、ホクレン公式オンラインショップHOKUREN GREEN +PLUSでは「北海道地チーズ博2023限定アソートセット」(写真左)を販売し、全国各地に地チーズをお届けしました。

大好評のうちに閉幕、来年に繋げる思い

地チーズ博2023では、北海道の作り手が東京そして首都圏のチーズファンに、それぞれが大切にしてきた思いを伝えることができました。日本でのチーズの消費量は増えていますが、海外製品との競争は激しく、しかも近年は外的な要因で酪農を取り巻く環境は厳しい状況が続いています。そうした中での4日間の出会いは、よりおいしく、より多くの方々を笑顔にするチーズづくりにつながっていくはずです。地チーズの作り手はそれぞれが信念と情熱をもって、ものづくりに取り組んでいます。今後も、進化する地チーズにご期待ください。

おいしい生乳に地域の風土、作り手の気持ち、その日の気候などもレシピとなって生まれるナチュラルチーズ。
地チーズも一期一会です。見かけたら、ぜひ手に取ってください。
> 北海道地チーズ博2023