白い滴、
品質一路の旅
[中編]

はるばる来たぜ、食卓へはるばる来たぜ、食卓へ

白い滴、品質一路の旅Vol.2

1回目は、集乳車が弟子屈町の澤入牧場で生乳を預かるところまでをルポしました。その後、集乳車は町内の生産者を訪ね、タンクを生乳でいっぱいにして、あるところへ向かいました。その行先はさて…?

生乳輸送の中継地、
クーラーステーションへ

冬の道東をひた走る集乳車は、弟子屈町から標茶町に入り、ホクレン釧路クーラーステーションへ。ここは、生乳輸送の中継地。1日300トン弱の生乳を受け入れ、その内の約2割は道内の乳業工場へ、約8割は関西を中心に関東、中京に向けて出荷しているそうです。

到着後、あらためて検査。
合格を確かめ、受け入れを開始

集乳車が来ると、専門員がすぐさま生乳のサンプルを採り、サンプリング室で、抗生物質、細菌数、風味を検査。異常なし!の結果が出たところで、生乳の受け入れが許可されます。受け入れ後、乳成分などの検査を行います。

集乳車から
クーラーステーションの貯乳タンクへ

お墨付きをもらうと、集乳車にはホースがつながれ、生乳はクーラーステーションの貯乳タンクへ。ここでの受け入れの際も、生乳は外気に一切ふれません。

貯乳タンクから、
ローリーの貯乳タンクへ

続いて生乳は、貯乳タンクから道内・道外へ移送するローリーのタンクに、2℃に冷却されながら充填されます。クーラーステーションでは、受け入れた生乳は、その日の内に出荷し、貯乳タンクの中で繰り越されることはありません。

ここでもまた検査!
報告書はタンクに添付

ローリーのタンクの下側には、写真のようなバルブが付いています。生乳はとってもデリケートで、上から注いでいくと脂肪球が壊れることもあるので、下から送り込むのが鉄則。そして、この段でもまたサンプルを抜き取り、出荷時の検査を行います。その結果を記載した報告書はタンクに添付されるとともに、ファックスでホクレン本所などへ。これでようやく出荷の準備が整うという、厳重この上ない、徹底ぶりです。

結束バンドは、
生乳の見張り番

生乳をローリーのタンクに詰め終えたら、バルブを閉め、扉を閉め、最後に扉を強化プラスチック製の結束バンドで封印します。この結束バンドは一度解くと元には戻せません。つまり、外部からの混入の有無が一目でわかる寸法です。ちなみに、結束バンドには、クーラーステーションから生乳を出荷する際に割り振ったのと同じ番号が印字されています。

一方、別の集乳車は
雪印メグミルク(株)磯分内工場へ

釧路クーラーステーションでの作業を見守ると、ここに寄らず、まっすぐ乳業メーカーに生乳を届ける集乳車もあるという情報が。行先の一つ、標茶町にある雪印メグミルク(株)磯分内(いそぶんない)工場を訪ねました。

操業約60年、家庭用バターと
生クリームの基幹工場

雪印メグミルク(株)は、全国17工場、道内7工場で牛乳・乳製品を製造しています。磯分内工場は昭和35年(1960)に誕生し、現在は家庭用バターと生クリームなど業務用乳製品の基幹工場に位置付けられています。おなじみの「雪印北海道バター」を切る手間なく楽しめる「雪印北海道バター(10gに切れてる)」は、磯分内工場で100%つくられています!

スピーディな作業を促す
4レーン設計の受入棟

この工場の集乳車の受入棟は4レーンに分かれていて、生乳の検査、計量、受け入れ、タンクの洗浄までがスムーズに行えるように設計されています。写真は、集乳車のタンクの上にあるふたを開け、検査用のサンプルを採っているところ。開いた口から虫などが入らないように、作業はネットをかけてから。サンプルは、網状のはしごをかけた右側の検査室に手渡しされます。

熟練スタッフが、
慎重に検査を実施

正確で迅速な検査ができるよう、サンプルの生乳は目的別に形の異なる容器に注がれます。検査項目は、風味、乳質、抗生物質や細菌数、酸度や比重など多岐に渡ります。熟練スタッフ数名が、忙しく手を動かしたり、じっと顕微鏡をのぞいたり。緊張感が漂います。

ここでも、外気にふれることなく、
貯乳タンクへ

検査に合格し、受け入れOKとなった生乳は、釧路クーラーステーションでの作業と同じように、集乳車からダイレクトに工場の貯乳タンクに送り込まれます。バルブがゆるみ、生乳が漏れるアクシデントが起きないように、バルブをつなぐドライバーさんの手にも力が入ります。

受け入れ検査は
4分でクリア!

大量の生乳を受け入れる磯分内工場では、集乳車ごとの生乳検査は4分間で終了!受け入れ後は、製造するものに合う乳質かどうかをさらに確認。すべて合格となったところで、生産者の熱意の結晶・白い滴は、食卓に笑顔を運ぶおいしさに生まれ変わる準備に入ります。