トマトの収穫/JA新はこだて(森町)

北海道NOW 北海道NOW

トマトの収穫/JA新はこだて(森町)

【 60 秒 】

北海道の農業の「今」を動画で伝える「北海道NOW」。今回は、道南の森町から、トマトの収穫風景をお届けします。温泉が湧くこの地域では、地熱を活用したトマト栽培が行われており、その特徴についてもご紹介します。

  • 道南の森町では冬にトマトを栽培
    トマトは夏野菜の代表格ですが、実は北海道には、冬の間もトマトを栽培している地域があるのをご存じですか?道南のJA新はこだて濁川(にごりかわ)地区では、23戸の生産者が、この地域の地熱や温泉を活用して、冬の間もトマトを栽培しています。JA新はこだての森町トマト生産部会で会長を務める伊藤繁樹さんのハウスでは、毎年12月にトマトの苗を定植し、3月中旬から収穫をしています。4月上旬、伊藤さんのハウスを訪ねると、大人の背丈よりも大きく成長した枝に、たくさんのトマトが実を付けていました。
  • 地熱発電のエネルギーを再利用しハウスを加温
    カルデラ盆地に位置する濁川地区は、町内でも冬の寒さが厳しく積雪の多いエリアです。それでも冬にトマトを栽培できるのは、この地域に、北海道で唯一の地熱発電所があるから。この発電所では、3000m以上の地下からパイプラインで蒸気を引き、タービンを回して発電しています。発電に使用した後の蒸気を再び地下に戻す途中、その熱で真水を約60℃に温め、ポンプでハウス内に引き込みます。この仕組みのおかげで、冬でもハウス内の温度は日中で20℃以上、朝晩も10℃以上を維持。冬のトマト栽培を可能にしています。濁川地区では地熱のほか、源泉が通るホースやパイプを敷設してハウス内を加温する生産者もいます。
  • 6月まで春のトマトを出荷
    伊藤さんのハウスでは、今年、3月16日からトマトの収穫をスタート。6月上旬までは、毎日4kg入りの箱で約70箱分を収穫し、主に函館や札幌の市場に出荷しています。外気温が低いこの時期のトマトは、ハウスの中でゆっくり育つため、甘さが十分に蓄えられるそう。伊藤さんは、トマトを一つひとつ手作業で収穫します。「オレンジ色になったら収穫のサイン。店頭にならぶ2日後くらいがちょうど赤く熟して食べ頃です」と伊藤さん。「春先のトマトは、道外産ばかりと思われがちですが、冬の間にじっくり時間をかけて育った私たちのトマトもおいしいですよ。ぜひ味わってください」と太鼓判を押します。
  • 「函館育ち」のブランド名で販売
    地熱や温泉を活用している濁川地区の生産者は、トマトの作付けを年に2回行っています。伊藤さんのハウスでは、6月に収穫が終わると、7月下旬に新しい苗を植え直し、8月下旬から11月上旬まで2回目の収穫が続きます。濁川地区のトマトは、JA新はこだてから「函館育ち」のブランド名で出荷。夏は道内ばかりでなく、関東や関西方面にも出荷されます。夏のトマトは通常、糖度が3、4度ですが、JA新はこだての共選所で糖度7度以上のものを選別し、「糖度保証トマト」として、化粧箱入りで販売も行っています。贈答用にもおすすめです。