竹中 浩二さん
(JAにいかっぷ)
農家の時計

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今回の農家さん

竹中 浩二さん(JAにいかっぷ)
新冠(にいかっぷ)町出身。農家の二代目として20歳で就農。現在はピーマンのほか、米、小麦を栽培。2010年より「JAにいかっぷピーマン生産部会」の部会長を務めています。

JAにいかっぷの特産物
『にいかっぷピーマン』とは?

北海道南部の太平洋側に位置する新冠町で、ピーマンの栽培が始まったのは1980年。当初5戸だけのスタートから年々増え続け、現在の生産量は北海道一を誇ります。
「JAにいかっぷピーマン生産部会」では、所属する47戸(2022年5月時点)の生産者はすべて「持続農業法」に基づいて都道府県知事が認定する「エコファーマー」の資格を取得。有機堆肥を使い、徹底した土づくりが行われた土壌で育つピーマンは、苦味が少なく、甘みがあるのが特徴です。
2020年には、『にいかっぷピーマン』というブランドで地域団体商標に登録。例年6月〜11月上旬にかけて関東・東海・関西方面を中心に出荷されています。
 

■竹中さんの1日(6月上旬の一例です)

午前中から、収穫と余分な枝を切り落とす
整枝を同時に作業

竹中浩二さんは、栽培歴は20年以上というベテランで、18棟ものビニールハウスでピーマンを栽培しています。竹中さんのハウスでは、例年6月上旬からピーマンの収穫が始まり、11月上旬まで作業が続きます。夏に向かって気温が上がるほど、実が大きくなるスピードが増し、収穫量も比例して増えていくそうです。
「ピーマンは1つの株から200~300個もの実がなります。これからの時期は一度に収穫しきれないほど次々に実がなるため、余分な枝は切り落とします。枝の生長スピードも早くなるので、収穫と同時並行で作業をしなければならず、忙しいです」収穫のピークを迎えるのは例年7月〜8月下旬で、多い時には5、6人で収穫作業を行います。「ハウスの中は一層暑くなるので、収穫スタッフは多いほど助かりますが、人手を確保するほうが一番の大仕事かもしれません」

株をしっかり育てて、
6カ月の間収穫

新冠町は、競走馬の産地として全国的に有名ですが、実は北海道屈指のピーマン産地。生産量が多い理由はいくつかあるそうですが、「ピーマン専用の選果場があるので作業が省力化され、栽培に専念できること」「病気に強い品種に統一したこと」「天候の影響が少ないビニールハウスで全量栽培するため、安定的に供給できること」が大きな要因だそうです。竹中さんは「我々が作っている『みおぎ』という品種は、苦味が少なくて色つやも良く、収量性が高いという特徴があります。いいことづくしのようですが、以前の品種と比べると生長する勢いが強いため、通常1株に2本で済んでいた糸吊り用のひもが4本必要になり、手間は倍かかります。でも、その分おいしさも増していると思います」と説明します。
 
実際に竹中さんのハウスに入ってみると、4本のひもで吊られているピーマンの株がずらりと並んでいました。「4月下旬頃に株を定植後、株が倒れてしまうのを防ぐため、茎にひもを巻き、1本1本手作業でひもをかけていきます」と竹中さん。「5月の上旬には花も咲きますが、あえて花を摘んで、第1、第2花は着果させないようにします。11月まで長く収穫できるように、今の時期は株をしっかり育てています」と話します。

馬産地ならではの
有機土壌づくり

JAにいかっぷならではの特徴といえるのが、馬がいる土地柄を生かした土づくりです。
「馬糞が身近で手に入るから、いいピーマンが作れるのかもしれません」と竹中さん。竹中さんによると、手に入れた馬糞は1年ほど寝かせて、発酵を進めます。未完熟だとガス害によって根が傷むため、2年ほど時間をかけて完熟させたものを使用するそうです。
「この堆肥のおかげなのか、おいしいだけではなく、20年以上同じほ場でピーマンを栽培していても連作障害は一度もありません。ピーマン作りには頼りになる存在です」
 
同組合ではスマート農業も積極的に進めており、温度管理を自動化することで、省力化はもちろん、品質向上と収量増加にもつなげています。
竹中さんは「6月〜7月の『にいかっぷピーマン』は果肉が柔らかいので、甘みがより分かると思います。安全・安心でおいしいものを届けるのが、生産者の使命です。安心していっぱい食べてもらえたら、私たちも励みになります」と思いを込めて語りました。