数井 崇弘さん
(JA道央)
農家の時計

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今回の農家さん

数井崇弘さん(JA道央)
工業系の大学を卒業後、恵庭市で稲作や畑作を営む農家の4代目として就農。高齢化により離農する農家から土地を譲り受けて規模を拡大し、栽培作物の種類も見直したり、仲間とICT研究会を立ち上げたりなど、これからの農業を見つめながら積極的に活動。7歳、5歳、3歳の3人の子育てにも一生懸命な良きパパでもある。

JA道央の特産物『グリーンアスパラガス』とは?

恵庭市、江別市、北広島市、千歳市の4市をエリアとするJA道央。稲作、畑作、酪農、園芸作物など多彩な農業が行われ、札幌市をはじめとする大消費地への供給基地となっています。グリーンアスパラガスは、恵庭市を中心に栽培されており、現在21軒でハウス促成栽培と露地栽培が行われています。根元の方までやわらかく、みずみずしくて甘いと評判です。

■数井さんの1日(4月の一例です)

朝どりを9時までに出荷

ハウスのグリーンアスパラガスの収穫はおよそ4月いっぱい。土から穂先が出てくると、あっという間にニョキニョキと大きくなるので、毎日収穫します。
「27〜33cmに伸びたものをカマを使って切り取り、コンテナに入れるだけなんですけどね。100mのハウス2棟、パートさんをお願いしても多い時には収穫に3時間以上かかります」
JA道央の選果場に9時までに運び込まなければならないため、逆算すると開始は5時ぐらい。まだ気温が上がらないうちに収穫されるため、鮮度を保てるのです。
これでグリーンアスパラガスの作業はひと段落。ひと息ついたら、他の作物のための圃場整備や播種などトラクター作業が待っています。

作業時期を分散する
作物として導入

数井家の農地面積は、崇弘さんが就農した時点では15haでしたが、現在は48ha。メインは稲作で、畑作では小麦、大豆、てん菜、キャベツやブロッコリーなどの野菜を栽培。そして5棟あるハウスではピーマンとメロン…だったのですが、4年前から5棟のうち2棟でグリーンアスパラガス栽培を始めました。
「とにかく農作業の忙しい時期が重なるんですよ。圃場の整備や収穫時期も一気にやってきます。うちは両親と僕、まだ子どもに手がかかる妻に、時々パートさんに入ってもらうという体制だから、手が回らなくなるんです。グリーンアスパラガスなら田植えが始まる前に収穫が終わるし、忙しい時期を少し分散できるのではないかと」
アスパラガスは他の野菜のように、種や苗を植えてその年に収穫できるものではありません。根を大きく育て、3年目でやっと収穫できるようになります。数井さんも収穫を楽しみに管理していましたが、2年目の秋、台風でハウスが倒壊。ハウスの修復が間に合わず、3年目の昨年は露地ものとして少しの量を収穫できただけでした。ハウスの修復も済み、今年からやっと本格的な収穫ができるようになりました。
「だから、グリーンアスパラガスに関しては新人なんですよ」と笑います。

温度、水、土、
そしてよく観察すること

「保温をどうしようか悩んでいます。以前は二重ハウスだったんですが、修復の際はそこまでできなくて。このままじゃちょっと温度が足りないかもしれないので、ヒーターで加温か、トンネルにするか。先輩たちの意見も聞きながらやっていきたいと思ってるんです」
水やりも大切なポイント。冬場は外の雪をハウスの中に何度か入れ、雪がゆっくりとけることで土全体を潤します。収穫が近づいてくると灌水チューブでたっぷりと水を与え、茎の生長を促します。
「生長に時間がかかると穂先が開いてきてしまいます。一気に伸びてくるものほど、太くて、みずみずしいんです。そういった質の良いものをたくさんとれるようになりたいですね」
およそ1カ月に渡る収穫が終わっても、まだまだ作業は続きます。翌年のために根を大きく健康に育てなければなりません。

「まず雑草取り。擬葉が茂ってからではできなくなるので、タイミングが大切です。その後、堆肥などで追肥して、擬葉を大きく茂らせます」(※上記写真:アスパラガス収穫後、擬葉が茂っている様子。)
ハウスの天井に届くまでに生長した擬葉は、たっぷり光合成をして根に養分を届けるのです。
「ただ、擬葉が傾いてしまうと真っ直ぐになろうとして養分をそっちに使っちゃうらしいんです。そうすると根に養分がいかなくなるから、45度以上に傾かないように支柱で支えたりね」
そして秋、擬葉が枯れ始めるころには、擬葉を刈り取ります。
「機械で刈るんですが、その量たるや半端ないです。擬葉が色づいてしまったら、パラパラ落ちてしまい、機械に挟まって作業が進まないので、あくまでも枯れ始めを見極める必要があります」
すべてに、タイミングが大切なようです。
「そうなんです。だからよく観察していなければと思います」
こうして根を生長させたアスパラガスは、毎年収穫できますが、10年以上になると限界に。根の更新をしなければなりませんが、収穫まで3年かかるため計画的に行う必要があります。数井さんは、残り3棟のハウスでもグリーンアスパラガスを栽培しようかどうか模索中です。

大好きだから質のいいものを届けたい

「うちは家族全員、グリーンアスパラガスが大好きなんですよね。収穫したアスパラガスは我が家でも大人気です」と笑います。ゆでてサラダにするのはもちろん、バターしょうゆ炒めも好物。みそ汁の具にもなります。また大好きだからこそ、「より品質のいいものを」と考えています。
「太さがそろって、真っ直ぐで、根元までやわらかくて、みずみずしいグリーンアスパラガスを皆さんにお届けしたいですね」

JA道央のハウス栽培グリーンアスパラガスは「HOKUREN GREEN +PLUS」で購入できます。数井さんはじめ生産者の皆さんが丹精込めた春いちばんのおいしさを、どうぞお楽しみください。