佐藤弘一さん
(JA今金町)
農家の時計

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今回の農家さん

佐藤弘一さんJA今金町
農家の四代目として1972年に就農。86年に和牛の飼養を始め、15年ほど前から畜産専業に。長きにわたり「今金町和牛生産改良組合」の組合長を務め、同町の和牛生産の基盤を築く。現在は「北海道和牛振興協議会」会長として活躍。

JA今金町の特産物『今金和牛』とは?

北海道の南に位置する、今金町で生産された和牛(黒毛和種)のブランド。1982年から同町の和牛生産の歴史が始まり、生産者で組織される「今金町和牛生産改良組合」には、現在40戸が所属しています。和牛の品評会である北海道内の共進会でも常に上位に入る実績を持ち、牛づくりに情熱を注ぐ生産者が多いのが特徴。飼養頭数は1,000頭程度と少なく、ほとんど市場に流通していないそうです。

■佐藤さんの1日(6月の一例です)

牛のお産の時期は
24時間気が抜けない

佐藤さんの牧場では現在、繁殖牛32頭、育成牛23頭、肥育牛15頭を飼養。毎日の餌やりや体調管理、牛舎の清掃作業などを、佐藤さんのほか、奥さんの千津子さんと息子さんのお嫁さんの3人で行っています。佐藤さんによると1年を通して1日の作業内容はあまり変わらないそうですが、出産間近な牛がいる場合は予定通りにはいかないのだそう。「何十年牛を育てていても、お産のたびに無事に子牛が生まれるかどうか……1日中気が抜けません」

“和牛オリンピック”で
連続優等賞の実力者

佐藤さんは、5年に一度全国の優秀な和牛を一堂に集めて、改良の成果やその優位性を競う「全国和牛能力共進会」に2回連続出場。肉質を審査する「肉牛の部/枝肉」(2012年)、母、娘、孫の3代を出品する「種牛の部/高等登録群」(2017年)で優等賞を受賞する実力の持ち主です。
私たち一般の消費者にはあまりなじみがありませんが、畜産業界最大の“和牛オリンピック”とも呼ばれるこのコンテストは、優秀な成績を収めることでブランドとしての市場価値が高まるため、参加道府県にとっては威信をかけた大会なのだそう。佐藤さんは、「地元の人材の育成や良い血統の掘り起こしにもつながり、強い産地を築く上でも貴重な大会です」と説明します。

いい牛を育てるには、
日々の観察が大切

和牛の生産農家は、一般的に繁殖農家と肥育農家に分かれていますが、佐藤さんの牧場では、黒毛和牛の繁殖から育成、肥育まで全工程を一貫して手がけており、牛舎にいる和牛すべてが“今金っ子”。一貫して育てる分、手間も苦労も多そうですが、いい牛づくりについて尋ねると、「牛は風邪もひきますし、病気にもかかります。人間の子育てと同じで健康に育てることが一番です」と佐藤さん。「ただ、牛は言葉が話せないので、病気やケガを見落とさないように、毎日よく見て触って、観察することが大切です」と付け加えます。
さらに、牛のえさとなる粗飼料(ホールクロップサイレージ)も自ら生産しているそう。ホールクロップサイレージとは、とうもろこしや稲のように、従来は実をとることを目的に作られた作物を、繊維の多い茎葉部分と栄養価の高い実の部分を同時に収穫して発酵させたもの。飼料用の作物は、過去13回も清流日本一に選ばれている後志利別川流域で栽培されており、健康的な牛づくりの秘けつであると話されていました。

やわらかな肉質と
脂身のうま味は想像以上!

取材当日、うれしいことに佐藤さんが育てた『今金和牛』を炭焼きで味わうことができました。大きくて厚みのある肉は、高級部位の肩ロース。その見事な存在感と美しさに、期待も高まります。食べてみると驚くほどやわらかく、脂身が苦手という人も思わずペロリと平らげられそうなほど、うま味があってクセもありません。佐藤さんも、「自分で育てた牛肉だけど、おいしいね!」と思わず笑顔に。
とびきりおいしい『今金和牛』ですが、現在のところ味わえるのも、購入できるのも、町内に限られています。もし地元以外で『今金和牛』を見かけたら、間違いなく購入することをおすすめします!