川岸祐貴さん
(JA帯広大正)
農家の時計

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今回の農家さん

川岸祐貴さん(JA帯広大正)
大学卒業後、農家の三代目として就農。現在は「だいこん生産部会」の役員のほか、部会員の出荷量を管理するブロック長も務める。学生時代はスピードスケートに打ち込み、「第35回関東学生スピードスケート競技選手権大会(1500mの部)」で優勝するほどの実力の持ち主。

JA帯広大正の特産物『大正だいこん』とは?

大根の生産量全国一の北海道の中でも、地域名がつく『大正だいこん』は、『大正メークイン』『大正長いも』に並ぶJA帯広大正のブランド野菜の一つ。収穫期は、例年6月下旬から10月上旬。JA帯広大正によると、みずみずしい味わいが特徴で、やわらかく煮物にすると味が染み込みやすいそう。およそ9割は、関東や関西、九州など北海道外に出荷されています。
 

■川岸さんの1日(7月下旬の一例です)

午前は大根、
午後は小麦の収穫で大忙し

大根の収穫は午前6時から。家族やパートさんの総勢10人ほどで作業を行います。川岸さんの畑では、このほかにメークインやごぼう、小麦も栽培しており、8月上旬は小麦の収穫も重なって、多忙を極めるそうです。

大型の機械を使い、
大人数で収穫

十勝平野といえば、畑作や酪農を主体とした日本有数の食料生産基地として知られています。川岸さんが暮らす帯広市以平町(いたいらちょう)も、大規模な畑が点在し、風光明媚な農村風景が広がっています。到着するとちょうど『大正だいこん』の収穫の真っ最中。川岸さんは10人ほどが乗り込んでいる大きな収穫機を指差して、「機械を運転しているのが弟です。土から大根を掘り起こし、リフトアップしているところです。その横にいるのが僕の妻で、大根の傷や規格外品を粗選別しています。周りで働いている人たちはパートさんで、コンテナに手際よく大根を詰めているんですよ」と説明します。聞けば、1時間で収穫する量は300kg〜400kgのコンテナで14コンテナ分にもなるとのこと。
この日はおよそ49コンテナを出荷する予定とのことで、「パートさんには、ものすごく助けられています!」と川岸さん。想像以上に人手がかかっていることに驚きます。

手をかけるだけでなく、
目をかけることも大事

「今年は形や太さもそろい、上々の出来です。個人的には、種まきの段階で出来はほぼ決まると感じています」と川岸さん。畑づくりでは、なるべく生育がそろうように土壌のバランスを整え、種をまいた後は、同じ深さに植えられているかを点検して回るのだそう。目の前に広がる大きな畑を前にすると、その細やかな作業に頭が下がります。川岸さんのそうした姿勢の原点は「見るだけでもいいから、毎日畑を歩け」という父の言葉だと言い、「手をかけるだけでなく、目をかけることが大事です」と付け加えます。
ただ、土の中で育つ大根は外から生育状況が見えず、苦労も多そうです。「その上、気象条件が毎年違うので思うようにはいきませんが、簡単ではないからこそ面白さがあると思っています」

さっぱりと食べられる、
しゃぶしゃぶがおすすめ

大根は、本州の主産地では一般的に冬〜春が旬ですが、北海道は夏場に収穫期を迎えます。「みずみずしくておいしい『大正だいこん』は、暑い夏にこそおすすめです」と川岸さん。サラダはもちろんですが、川岸さんのイチオシの食べ方はしゃぶしゃぶ。「大根は皮をむき、ピーラーで削ります。お湯にサッとくぐらせることでうま味も出て、いくらでも食べられます」。さっそく、しゃぶしゃぶで実食したところ、大根の甘みと付けだれのポン酢の酸味があいまってどんどん箸が進みます。
 
最後に『大正だいこん』のPRをお願いすると「地域の名前が付くだけに、作り手は並々ならぬ情熱を注ぐ人ばかりです」と川岸さん。「ブランドを守り、おいしいと喜んでもらえるよう努力を続けていきたいです」と締めくくってくれました。