ホクレン
農業協同組合連合会
代表理事会長
篠原 末治
農家の時計

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今回の農家さん

ホクレン農業協同組合連合会 代表理事会長 篠原 末治
1961年士幌町生まれ。農家の2代目として1980年に就農。営農品目は、小麦、馬鈴しょ、てん菜、大豆、デントコーン。JA士幌町組合長を経て、2020年6月より現職。

みなさんは、ホクレンの代表が“生産者”であることをご存じですか?
今回は番外編として、ホクレンの篠原末治代表理事会長を取材。農作物への思いや北海道農業の強みなど生産者とホクレン会長、両方の思いをGREENライターがインタビューしました。
 

──就農したきっかけは何ですか。生産者として農業をする上で、
大切にしていることについてお聞かせください。

篠原:小さい頃から農作業を手伝っていました。そこで、“自然の中で働くことが自分に一番合っているなぁ”と思うようになり、迷いなく農業の道に進みました。農業高校を卒業後、さらに農業の知識を深めようと農業系の専門学校に進学し、そこで体験した海外実習が、自分にとって大きな転機になりました。
当時うちの畑は22haほどでしたが、実習先の農場は500ha。そのスケールとパワーに圧倒されました。当時の日本では、農業=家族経営が常識という中で、会社として経営する農業があると知ったのもこの時です。大きな影響を受けました。
 
現在所有する畑の総面積は、約150ha(東京ドーム約30個分)です。数年前に法人化し、妻と娘夫婦が主軸となって作業を行っています。私はホクレンの会長に就任後、本所のある札幌で過ごす時間が増えましたが、士幌に帰った時には必ず畑を見て回ります。
就農当時は両親から“農作業は、作物に合わせてやりなさい。自分の都合に合わせたらだめだよ”とよく言われました。そのためには、作物を日々観察することが大切になります。作業が後手になるのが一番だめで、先に先に考えて動くことが肝心です。それはどんな仕事でも同じだと思います。

──北海道農業の強みとはどんなところだと感じていますか。

篠原:「北海道の農畜産物はおいしい」と、多くの方々からうれしい声をいただきます。そのおいしさの理由には、自然環境の豊かさも当然ありますが、私は消費者の皆様の期待に応えようという生産者の思いや努力が一つになっているからだと感じています。
農家は仲間づくりから始まります。分からないことは教え合う。自然災害に見舞われたらお互いに助け合う。誰かの農作業が遅れていたらみんなで手伝って終わらせる。私もずいぶん助けられました。そうした協同精神の強さも、北海道農業の強みにつながっています。
 
先日、日本穀物検定協会が発表した2020年産米の食味ランキングで、北海道米は『ゆめぴりか』『ななつぼし』『ふっくりんこ』3品種すべてで最高位の「特A」を獲得しました。これらの品種は生産者自らが厳しい出荷基準を設けて、品質を統一する努力を重ねています。ですから「特A」は、道内各地の生産者みんなでおいしいものを作るという思いを一つにした結果にほかなりません。
その一方で、産地の特色を生かした農畜産物も続々と誕生しています。これからは、北海道産の価値を維持するだけでなく、各産地の個性を大切にしていきたいとも考えています。消費者の皆様に喜ばれるものを生み出していくためにも、産地の魅力をもっともっと掘り起こしていきたいです。

──ホクレンのコーポレートメッセージ
「つくる人を幸せに、食べる人を笑顔に」を実現させるために、
どんなことが必要だと感じていますか。

篠原:ホクレンが2019年の創立100周年を機に掲げた「つくる人を幸せに、食べる人を笑顔に」。この言葉は、食にかかわるすべての方にも響く、素晴らしいメッセージだと感じています。さらに付け加えるなら、つくる人の幸せも、食べる人の笑顔も、物が充足すればそれでいいというものではなく、生産者と消費者双方の心を満たすような豊かさを追求することが何よりも大切だと考えています。
消費者の皆様にお約束したいのは、北海道の生産者は、これからも安全・安心な農畜産物を、自信を持って作っていき、ホクレンも皆様のもとへしっかりお届けするということです。今後とも、北海道の農畜産物にご期待ください。