太田 貢さん
(JAめむろ)
農家の時計

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今回の農家さん

太田 貢さん(JAめむろ)
芽室(めむろ)町出身。短大卒業後、20歳で就農。ごぼうのほか、長いも、小麦、大豆、じゃがいも、山わさびを栽培。2021年より「芽室町ごぼう生産組合」の副組合長を務めています。

JAめむろの特産物
『めむろごぼう』とは?

JAめむろのある芽室町は、十勝地方の中心地・帯広市に隣接した農業が盛んなまちです。JAめむろのごぼうは、作付面積、収穫量ともに全道一を誇り、見た目は太く食感はやわらか、風味の強さが特徴です。「芽室町ごぼう生産組合」では、現在58戸の生産者がごぼうを栽培しており、定期的勉強会を実施し、技術の向上に努めています。収穫時期は例年8月下旬から11月下旬と、翌年4月中旬の2回。9割ほどを秋に掘り、残りは越冬させて翌年の春に収穫します。収穫したごぼうは、太さや長さによって11もの規格に分けられ、『めむろごぼう』というブランドで関西方面を中心に出荷されています。
 

■太田さんの1日(10月中旬の一例です)

朝7時から日暮れまで続く、
収穫作業

太田さんの畑では、例年9月下旬からごぼうの収穫を始め10月中旬にピークを迎えます。「ちょうど大豆の収穫と重なるんですよ」と太田さん。「大豆の収穫は、晴天の日に限られますが、ごぼうは雨の日以外は毎日収穫します」と説明します。朝7時過ぎから始まるごぼうの収穫作業は、専用の収穫機を使い、土中深くに鍬を入れ、ローラーの回転を利用してリズミカルに引き上げます。引き上げられたごぼうは即座に手作業で選別され、1本1本隙間なくコンテナに詰められます。1日の収穫量は、400kg入りのコンテナで約20コンテナ分。作業は10月下旬まで続きます。太田さんによると機械一台につき、少なくても5人以上の人手がかかるそう。「ごぼうを傷つけたり、折ったりしないように気遣いながら、手早く作業を行っています」

『めむろごぼう』の栽培は、
やわらかな土づくりから

太くてまっすぐなごぼうを育てるためには、土のやわらかさが肝心です。石や硬い粘土などが土の中に混ざっていると、ごぼうの生育は阻害されてしまいます。太田さんは「芽室町は下層までやわらかい土が広がっている畑が多く、ごぼうの栽培に適しています」と話します。その上で太田さんの畑では、ごぼうの種をまく前に、丹念に整地を行います。「機械を使って、幅25cm、深さ1mまで土をやわらかくします。地中深くまで土づくりをすることで、ごぼうの味もやわらかくなります」。
さらにごぼうを作付する前年には緑肥を植えて、土壌の質を改良します。「土の中にいる菌や微生物が増え過ぎると、ごぼうの品質が落ちてしまうんです。そのため、ごぼうを収穫した畑は、翌年のごぼうの栽培を休んでいます」と説明します。

今年の『めむろごぼう』は、
近年でも指折りの良い出来

太田さんの畑では、今年は約6haにごぼうを作付け。春先の発芽不足や7月の高温少雨の影響も心配されましたが、「ここ数年で、質、量ともに上々の出来です」と頬を緩めます。収穫したごぼうを保管する倉庫の中は、独特の香りが漂っています。「ごぼうの魅力はいろいろありますが、この香りが一番好きなんです」と太田さん。「収穫する際にも、畑いっぱいにごぼうのいい香りが漂うんですよ」と話します。
太田さんの好きなごぼう料理は、豚汁とごぼうチップスとのこと。「ごぼうチップスは、スライスしてさっと素揚げするだけ。おやつにもおつまみにも最高の一品になりますよ」と教えてくれました。
太くてやわらかく、風味の強い『めむろごぼう』。「安全・安心なごぼうを、自信を持って作っています。一度食べると、おいしさが分かっていただけるはず。ぜひ味わってみてください」と笑顔で語ってくれました。