「最高金賞の米を作るには、不断の努力が不可欠です」
「ゆめぴりかコンテスト2022」最高金賞 JAようてい蘭越地区 大友 健さん [JAようてい]
蘭越町出身。24歳で農家の三代目として就農。米約10ha、小麦、じゃがいも、大豆などを栽培。2018年より「JAようてい水稲生産組合」組合長のほか、「後志地区新品種ブランド米生産・販売協議会」会長も務める。
欲張らないのがいい米作りの秘けつ
JAようていは、羊蹄山を囲む7町2村からなる広域のJAで、ニセコ町や倶知安町などそれぞれの地区が地域性に合わせた米作りを行っています。全国の「水質が最も良好な河川(※)」にも選ばれている尻別川の流域に広がる蘭越町は、古くから米作りが盛んで「JAようてい水稲生産組合」に所属する全232戸のうち、約7割を蘭越町の生産者が占めています。
「この一帯は、ニセコ連峰に囲まれた中山間部で、空知や上川のような広大な田んぼは作れません。作業効率や収穫量では勝負できないので、品質のいい米を作っていくことが自分たちの生きる道という思いを地区の農家は強く持っています」
大友健さんは同町ならではの米作りについて、このように話します。実際に生産者は、隔年で新潟県など良質米の産地を視察。さらに同町では、2011年から全国の米の生産者を対象にした食味コンテスト「米-1グランプリinらんこし」を開催するなど、町を挙げておいしい米作りに磨きをかけています。
大友さん自身は、2014年から生産する米の全量を特別栽培米に切り替え、農薬や化学肥料の使用を通常の半分以下に抑えて栽培しています。『ゆめぴりか』の作付は、風が弱く気温が上がりやすい場所を選び、肥料と田んぼに引く水の管理に気を配っています。
「沢の水温が低いので、普段は水を浅く張り、なるべく温度を下げないようにこまめに見回っています。口で言うのは簡単ですがなかなか骨が折れるんです」と大友さんは苦労をにじませます。
大友さんはもちろん、多くの生産者が注意深く米を育てており、「たくさん収穫したいと欲張らないことが、おいしい『ゆめぴりか』を作る秘けつだと思います」と話します。
※国土交通省全国一級河川の水質調査結果2022年より
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「水の深さは3cmぐらいが目安です。気温と日照時間に気をつけながら維持しています」と大友さん
コンテストで2度目の最高金賞
昨年11月に開催された「ゆめぴりかコンテスト2022」では、JAようてい蘭越地区が全道一となる最高金賞に輝きました。翌月に発売された「最高金賞ゆめぴりか」は、瞬く間に完売。一般の消費者から「どこで買えるのか」「まだ買えるのか」との問い合わせが相次ぎ、大きな反響がありました。
「昨年は全道的にいい米がたくさんできました。どの地区が受賞してもおかしくないぐらい接戦でした」と大友さんは話します。同地区の受賞は2019年に続き2度目で、全道初の快挙でもあります。
「米作りもコンテストも団体戦。生産者一人ひとりが、日頃からいい米を作ろうと努力していないと、絶対に最高金賞には手が届きません」と大友さんは力説します。さらに大友さんによると、コンテストの出場をきっかけに他地域のJAとの交流が始まり、良質な米作りに向けた新たな取り組みも生まれているそうです。
「おいしい米作りを競うことで、全道の生産者がいい刺激を与え合える意義のある大会だと感じています。最高金賞は産地のイメージアップにつながりますし、町民の皆さんが喜んでくれているのが何よりもうれしいです。そうしたムードに刺激され、私たち生産者はいい米を作ろうという熱量がさらに高まります」
今年度の「ゆめぴりかコンテスト2023」の開催は、いよいよ11月に迫っています。「今年も変わらず、おいしいお米を全国の皆さまに届けるために、毎日稲と向き合っています。もちろん3度目の受賞を狙っていきたいです」と大友さんは、力強く語りました。
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ゆめぴりかコンテストでは、「五つ星お米マイスター」など7人の審査員による厳正な審査を実施。そこで選出される最高金賞は毎年注目を集めています