かぼちゃ
「りょうおもい」
Vol.02

おいしいの研究

かぼちゃ「りょうおもい」

vol.2

研究者:内藤 洋太さん

研究者:内藤 洋太さん

ホクレン農業総合研究所 作物生産研究部 園芸作物開発課 主査。2009年の入会以来、残留農薬などに関する検査を担当し、2016年からは長沼研究農場で、かぼちゃの品種選定試験や普及推進、栽培支援などに従事。趣味はお子さんと遊ぶこと。

かぼちゃのおいしさは
収穫後に決まる!

師走を迎え、今年も残りわずか。クリスマスに大晦日…でもその前に、冬至にはホクホクのかぼちゃをいただきたいもの。ちょうどこの時期においしく味わえるのが、ホクレンオリジナル商品『りょうおもい』です。収穫から食卓に届くまで、3〜4か月間の長い道のりについて、かぼちゃの品種開発などに携わる内藤さんに話を聞きました。
※この取材は9月上旬に行いました。

貯蔵前に欠かせないキュアリングとは?

貯蔵前に欠かせない
キュアリングとは?

前編で教えていただいたのは、8〜9月に収穫したかぼちゃに含まれるデンプンと糖のバランスを貯蔵によって整え、おいしい状態になってから出荷するということでした。さらに、そのタイミングは品種によって異なり、長期貯蔵に向いた『りょうおもい』は12月に食べ頃を迎えると。では、貯蔵はどのように行っているのでしょうか。

「じつは貯蔵の前に、キュアリングという段階があるんですよ」と、内藤さんがブルーシートで覆われたハウスに案内してくれました。かぼちゃがいっぱい並んでいますね! 「このように日陰で風通しのよい常温の環境に2週間ほど置いて乾かします」。それがキュアリング? 「はい。収穫後、へたを湿ったままにしておくと、そこからカビなどが広がって腐りやすくなるので、切り口を乾燥させる必要があるんです。キュアリングとは、傷を治すという意味です」。

私たちの「かさぶた」みたいな感じですね? 「まさにそういうことです。乾燥してカチカチに硬くなるため、専門的にはコルク化と呼ばれています。収穫の時も、へたのコルク化の度合いを目安にしているんですよ。『りょうおもい』はコルク化が6割ほどまで進んだら収穫します。さらにキュアリングをしてカチカチにするという感じですね。同時に追熟も進むので、夏場に出回る早い品種はそのまま貯蔵せずに出荷されます」。

外見はゴツゴツしていても意外とデリケート

外見はゴツゴツしていても
意外とデリケート

一方で『りょうおもい』のように、キュアリングを経て、貯蔵のステップに進むものもあるということですね。「はい、『りょうおもい』の場合は、道内各地からホクレンのセンターに集められ、温度と湿度が管理された貯蔵庫に入ってもらいます。5℃以下になると低温による障害で腐りやすくなり、逆に10℃以上だとデンプンが糖に変わるペースが早くなって、これも腐りやすさにつながるため、5〜10℃の間で貯蔵することが大切なんです」。

ゴツゴツした外見とは裏腹に、けっこうデリケートなんですね。家庭でも冷蔵庫には入れないほうがいいんですか? 「切っていないかぼちゃの場合、冷蔵庫の設定にもよりますが、5℃以下になるので低すぎますね。また湿気も嫌うので、買ってきたかぼちゃは、風通しがよくて涼しい場所に置くようにしてください。私たちもキュアリングから貯蔵まで、湿気には細心の注意を払っています」。なるほど、家庭では玄関や廊下などに置いておくのがよさそうですね。

おいしさのトレンドはホクホク系

おいしさのトレンドは
ホクホク系

収穫からキュアリング、そして貯蔵という長い道のりを経て、食感と甘さが最高のバランスになった頃に食卓に届けられるかぼちゃ。私たち日本人が求める「おいしさ」は、時代によって変わってきたのでしょうか。「現在は昔よりもホクホクした粉質感が求められ、そういった品種のシェアが伸びつつあります。『りょうおもい』もその一つですね。今後もホクホク系がどんどん強くなっていくのではないかと予想しています」。

北海道での作付面積が最も大きいという『えびす』もホクホク系? 「デビューした1964年当時はそう言われていたようですが、現在の基準では粘質のグループに入ります。それでも長い年月を通して培ってきたブランド力や、育てやすさもあって、今でも大きな存在ですね。品種開発に携わる者としては、いつか『えびす』の作付面積を超える品種を送り出したいという気持ちを抱きながら、日々の調査・研究に取り組んでいます」。

最後にぜひ、長くかぼちゃに携わってきた内藤さんがオススメする、簡単でおいしいかぼちゃのレシピを教えてください! 「かぼちゃの茶巾はいかがでしょう。一口大に切ったかぼちゃを耐熱容器に入れ、ラップをしてレンジでチン。そこにバターを加えてフォークなどで潰しながら混ぜ、ラップで包んでかたちを整えるだけです。シンプルだからこそ、かぼちゃ本来の甘みが存分に感じられますよ」。おいしそうですねー。冬至に『りょうおもい』でつくってみます!