調理法で、
味わいが変わる
イモや根菜など、重めの野菜が多くなるこの時期。軟白ネギのような軽やかな食材は希少で、厨房でも存在感が光ります。
白い部分が長く、すらりとしていて、やわらかいという特徴は、土寄せをしない、つまり、ネギに圧力をかけない栽培法のたまもの。土寄せをして長ネギを育てるのも大変そうでしたが、フィルムなどを使って遮光しながら細く伸ばすのはもっと手間がかかること。わずかでもおろそかにしたくない野菜です。
その味わいはというと、白い部分と緑の部分の違いだけではありません。芯の緑色の部分や上部にネバリ成分が多く、それが味の妙を生み出します。焼きネギにすると、表面はパリッとしているのに、内側はトロリ。この対比を楽しむために、洗うならサッと、水にさらす場合はごく短時間にすることです。
寒い時期、軟白ネギはでんぷんを自ら糖化させるので、甘みが増します。この甘さと持ち味のやわらかさは、白髪ネギにするとよくわかります。ただ、最初は甘いと感じても10回15回かむと、辛みが出てくるんです。しかもその辛みが香り同様控えめなところが、薬味に向く食材とされる理由でもあるでしょう。
私が好きな薬味としての使い方をここでご紹介します。フライパンに軟白ネギを平らに並べ、強火で焦げるまで焼きます。油は敷かなくて結構です。炭になる手前くらいまで焦がしたら取り出し、指の腹でなぞってパウダーにし、蒸し鶏にまぶしたり、塩に混ぜたり。何かと重宝です。ネギの焦げた香りは、いいですよね。私には、日本人のDNAに訴えかける香りのようにさえ感じます。
野菜として使うなら、ぜひパスタで。軟白ネギをパスタと同じくらいの長さに切り、それを縦に半分、さらに細めにカット。ゆであがったパスタと一緒にソースにからめると、軟白ネギはやわらかいですから、すぐにしんなりします。ボンゴレが作りやすく、味もよく合いますので、おすすめです。
塚田シェフが指揮を執る「ブラッスリー コロン ウィズ ル・クルーゼ」では、2月のランチ限定で「軟白ネギのポタージュ」を提供しています。根から葉先までまるごと1本を使い、時間をたっぷりかけたスペシャリテ。気持ちまであたたまる、ぬくもりあふれるおいしさです。
> 北海道の農が見える、お料理とワインのお店「ブラッスリー コロン ウィズ ル・クルーゼ
姉妹店の「ブーランジェリー コロン」では、2月の週末限定で「バゲットピザ~軟白ネギの焼き鳥風~(500円税込)」を販売中です。軟白ネギの甘さと辛さ、その対比を楽しめる、大人向きの味わいです。