Vol.43
チームのチーズ
~パインランドデーリィ~

白い滴のマリアージュ

今回のテーマ

チームのチーズ
~パインランドデーリィ~

アイヌ語の「川尻の合流しているところ」という意味の「オウコッペ」を語源とする興部町。酪農と漁業の町であり、町内には4軒のチーズ工房がある。
パインランドデーリィはチーズ工房としては4軒の中で最も新しいが、その歴史は古く、1908年に松村礎工門さんが香川県から入植したところから始まる。1954年に乳牛3頭から酪農専業に転換し、順調に規模を拡大。現在は、約2,000頭の牛を飼養する町内屈指のギガファームである。ちなみに、牧場の名前は、創業一族である松村家の松(=パイン)村(=ランド)に由来している。

2010年に乳製品部門を設立し、2018年には牧場敷地内に乳製品を販売する店舗をオープン。ここ5年で、新規学卒が14名入社するなど、とにかく若いエネルギーにあふれている。
ジョブローテーションを行うため、酪農の現場担当、600ha以上の広大な草地と100ha近い飼料用とうもろこしの畑を自社のTMRセンター(栄養を考えながら牛の飼料をつくる施設)などで管理する飼料担当、そして乳製品加工・販売の担当を行き来する。そのため、スタッフ間での仕事の伝達、共有、指導を大切にしており、チームとしての仕事の完成度を高める努力を常に行っている。

チーズ製造では、シンプルに、幅広い人たちに愛されるチーズを目指し、ネーミング、パッケージなどには、若いスタッフのアイデアが詰め込まれている。失敗を失敗で終わらせずに、前向きに次への改善の糧にしていく姿。昨日の現状に満足せず、今日には斬新に新しい改良を加えようとする姿。「このくらいでいいだろう」という姿勢は、停滞ではなく、後退だと思っているのだろう。
牛の管理をスマートフォンで行うシステムの導入、糞尿のバイオガスエネルギー化など、さまざまな取り組みを行うとともに、乳製品加工でも新しい商品への挑戦を続ける牧場のテーマは、「酪農に新しい風を」。
若いちからを基軸として、新しい風はこの場所から確実に吹き始めている。

チーズの紹介:
こどもッツァレラ
小さくちぎったモッツァレラ。ころんと小さく食感はむっちり。ついつい、ぱくぱくつまんでしまう。「年齢問わず食べてもらえるような、優しい味わいを追求したい」という作り手の考えが伝わってくるチーズ。
 
< パインランドデーリィ >
〒098-1622 北海道紋別郡興部町北興40
https://www.pineland-farm.com/